私と彼と②【ダイヤのA】 (ページ36)

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81話ページ36

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時間は、御幸がさくらを最寄りの駅まで送っていく時に戻る。

「今年は色々あったなー」

『そうだね、まさか一也くんと会えるなんて思ってなかったよ』

「本当は居るってわかってだろ？」

『バレた？』

「バレバレ…鳴のやつにも稲実に来いとか誘われてたんだろ」

『思った通りでございます』

本当は稲実にいく事も考えた。
鳴と一緒なら辛い事も忘れられるって。
でもそれは逃げでしかない。
もう一度会えるなら、もう一度一也くんに会えるチャンスを逃したくなかった。

「怖くなかったのかよ」

今から掘り返すのもなんだけどと、一也くんが聞いてくる。

『正直怖かったよ、次会った時、覚えてるのかなって…それに学年が違うし、全校生徒の中で、一也くんを見つけられるなんて…というか、逆だね。
一也くんが、私を見つけられるかどうかも不安だった』

そう、一也くんは有名人、野球部の練習を見にグランドに行けばいいだけ。でも相手に気づいてもらわなきゃ意味がない。

『でも、奇跡的にね、ぼっちだった私に、春市くんが話しかけてくれたの』

その春市くんがたまたま野球部で。
野球部じゃなかったら、違うクラスの栄純くんとも、倉持先輩と知り合えた。それから…一也くんに気付いてもらえた。

「運命のキューピットは小湊か…でもアイツライバルだったのにな」

『でも春市くんは天使だよ、癒される』

「でも兄の亮さんは、悪魔のような人だぞ？3年になったら亮さんみたいになってそうで怖い」

『そう？亮介さんも、優しいよ？』

「本来の姿を知らないだけだよ、猫かぶってんだよあの人」

『それは一也くんもでしょ』

「あれはファンサービス」

青道に入学してから、今に至るまでの出来事を思い出していく。

野球部のみんなには本当にお世話になった。なので一部になっちゃうけど、日頃のお礼でクリスマスプレゼントを帰る直前で渡しておいた。
よろこんでくれると嬉しいのだけど。

『あ、』

「？」

『これ、一也くんにクリスマスプレゼント！』

「なんだよ、ついでみたいな言い方」

『違うって渡すタイミングつかめなくて、みんなの前だと、なんだか恥ずかしいし、一也くんだって冷やかされるの苦手でしょ』

「そりゃそーだけどさ」

たまには、堂々と自分の彼女なのだと、見せつけたいと思っている御幸がいるとはつい知らず。

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