私と彼と②【ダイヤのA】 (ページ12)

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59話ページ12

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春市くんは、私にとって、とても大切な存在だ。

あのとき声をかけてもらえなかったらって改めて思うと本当に嬉しかった。
一也くんのことも。

だから、私のことを好いてくれるのはとても嬉しくて…だから好きになれたらよかったのに…気持ちを無駄にしないように、してきたけど、やっぱり一也くんがどうしても好きな自分が消えなくて。

「俺が言うのもなんだけどさ、気持ちに嘘ついて、好きになるのも、辛いだろ…それに相手に失礼だろ」

『うん、わかってる、だから次のオフの時にきちんと気持ち伝えてくるよ…それに』

「？」

『春市くんと仲良くしてもらわなきゃ、私も、野球部のみんなも困るんだから』

「は？」

どうやら、無意識なんだろうか。
倉持先輩から言われたとは、いえ、自意識過剰に思われるけど、2人が私とのことでギクシャクしていると、話せば、一也くんは、呆れた顔をしていた。

「それは、悪かった」

『一也くんも一緒にくる？』

「いや、そこはきちんと2人で話してこい」

『わかった』

「じゃあ、家まで送るわ」

『今日は、家の目の前じゃなくて近くでいいから。またこの前みたいなことになったら嫌だし』

「んだよ、さくらママに彼氏の俺から挨拶しようと思ったのに」

『なっ！？』

全く、この男は油断も隙もない。
彼氏…そうか、両思いになったし、付き合うことになるから。ということは、これからデートしたり、キス…もするんだろう。それからそれ以上のことも。

「なに？いやらしいこと考えてんの？」

ふと、この前のキスを思い出して、顔を熱く感じると、ひょこっと、顔を覗いてきた。この時の一也くんは、ニヤニヤして、意地悪なときの顔だ。

『うっうるさい！先帰る！』

「んだよ、あのときは素直で可愛かったのに」

『あれは不可抗力！話をもらないで！』

「事実だろ？」

本当に調子の良い時は、とことん調子乗るなー。なんて思うけど、そのやりとりが、くだらなくても、楽しくて。

『……』

「どうした？急に黙りこんで」

『こうしてまた、一也くんと仲良くなれて嬉しいなって』

「～っ…こんの！！」

『ちょっ、なんなの？』

恥ずかしいけど、素直な気持ちを伝えれば、頭を撫でるかと思いきや、髪をクシャクシャとしてくる。これから、帰るからいいけど、突然は困る。

「急に可愛いこと言うな、我慢できなくなるだろ」

あ、大切にされてるんだ、と感じた一言。
その一言が貰えただけでもすごく幸せだ。

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