59.浴衣と草履 ページ14
夏祭り当日。
昼食の片付けを済ませたAは、手早く髪をまとめ、浴衣に着替えた。
今日はいつものポニーテールではなく、左下でお団子を作った。
白地に黄色と水色の華を散らした浴衣に、紅い帯。
髪飾りには、白と紅の華を挿した。
持ち歩く巾着とは別に、弟妹の浴衣や甚平を紙袋に入れて、準備は万端だ。
玄関に向かうと、原田が立っていた。
原田「もう出掛けんのか?」
貴女「はい」
簡潔に返事をしたAは、紅い鼻緒の草履を履く。
玄関を開けると、門のところに甚平を着た大地が立っていた。
原田「…やっぱり宮島か。付き合ってんのか?」
壁に寄りかかり、腕を組む原田を振り返り、Aはまた、笑顔を貼り付ける。
貴女「付き合っていませんよ?でも、原田先生がお気になさることでもないと思いますが」
原田の表情が少し歪んだが、Aの知るところではない。
貴女「それでは」
玄関を閉め、大地へと駆け寄る。
カラコロと高い音を響かせて、Aと大地は青空園へと向かった。
貴女「じゃあ楓さん。行ってきます」
花音と翔太を着替えさせ、楓に挨拶をすると、4人は夏祭りの会場へと向かった。
大地「花音、抱っこしてやろうか?」
慣れない浴衣と草履に苦戦する花音に、大地が笑いかける。
瞬間、花音はパッと笑った。
花音「いいの!?やったー!」
両手を出して、はやくはやく、とねだる花音は天使のように可愛い。
ひょいっと花音を抱き上げた大地は、空いた片手を翔太に差し出す。
翔太も嬉しそうにその手を繋いだ。
そんな光景が嬉しくて、Aの頬は自然と弛んだ。
翔太「お姉ちゃん」
貴女「ん?」
大地と繋いでいない方の手を差し出され、Aは首を傾げた。
翔太「お姉ちゃんも、手、つなご?」
幼いイケメンに輝かんばかりの笑顔を向けられ、Aはくすりと笑う。
貴女「うん、ありがとう」
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モア - 沙夜さん» おお!更新されている!とても面白いです!!これからも頑張ってください! (2018年4月17日 0時) (レス) id: 569b29ff63 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - ふてんにぶおんぷさん» 更新遅くなってしまいすみません!一人っ子なので、こんな兄弟ほしいなぁという願望で書いてます(笑)応援ありがとうございます! (2018年4月8日 0時) (レス) id: e978245002 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - モアさん» いつも読んでいただきありがとうございます!更新遅くなってしまいすみません!応援ありがとうございます! (2018年4月8日 0時) (レス) id: e978245002 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - AoNa.さん» 更新、返信共に遅くなってしまいすみません!応援ありがとうございます!不定期更新なので、また期間が空いてしまうかもしれませんが…(>_<;) (2018年4月8日 0時) (レス) id: e978245002 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - 青椿さん» 更新、返信共に遅くなってしまいすみません!応援ありがとうございます! (2018年4月8日 0時) (レス) id: e978245002 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/annzuamenoheya/
作成日時:2013年4月6日 18時