第35話 ページ43
「おじさん何考えてるの?」
傍らの少年が暢気な声を投げかけてきた。
それで福沢ははっとした。
先刻の女社長殺害の真犯人を
見抜いたのは誰だったか。
江川女史の秘密を初対面で
暴いてみせたのは誰だったか。
「なあ少年。お前――この脅迫事件、
何か気づいたことはあるか?」
この少年に非凡な力があることは
もはや疑いようがない
それが何なのか福沢には
はっきりとは、掴めない。
福沢の問いかけに、乱歩は静かな目で
ただ見返してきた。
彼には、何が見えている?
――何が見えているのだ?
「別に何も気づかいないよ。
善く判らないなあ、って、それだけ」
乱歩はつまらなどうに首を傾げた
福沢は足を止めた。
そこは劇場のエントランスロビーだ。
既に観客は入場をはじめており、
長い列をなしている。
「そうか」
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福沢は息を吐いた。
まるで期待を裏切られたかのように
「はあ...でももういいや。
仕事の口も駄目になっちゃった
みたいだし、第一こんな時間厳守で
つまらなそうなところで、
ずっと働ける訳ないし」
乱歩が所在なげに、ロビーの床を蹴る
入口にほど近いそこには
毛足の長い鳶色の絨毯が
敷かれていて、ほとんど音を立てない
ラッキーアイテム
麦わら帽子
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読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時