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離れないように、ショッピがAの手を握る。賑わう街並みは、日本と差程変わりは無い。ただ街並みはどちらかと言うと、ドイツなどに似ている。ショッピとチーノは我々国の中でも最も賑わいを見せる通り。そこに揃わぬものは無いと言うほど色々な物が売っている。
「……っ、ち、チーノさん、ショッピさん……あれって……」
怯えた声で言うAの視線の先には、人集りができていた。その中心では、1人の女が裸で男に奉仕をしていた。彼女の傍にあるバケツには金がどんどんと投げ入れられる。額の代わりに、扱いは酷いもので、とても直視できるようなものでは無い。
「ん?ああ、Aは見た事無いんやっけ。あれが野良」
Aは恐怖のあまり思わず強くショッピの手を握る。Aの震えに気づいたショッピは優しく彼女を抱きしめた。
「ああなりたくなかったら、俺らから離れんといてな」
「彼女は……望んであんな事を?」
「稼げるからな。野良は下手したらこの国の男の月収を一日で稼ぐ奴も居る。あんなのばっかや。見慣れといた方がええで」
そうは言いつつも、なるべく彼女の視界に入らないようにチーノが隠すように前を歩いた。改めてこの世界の異常性を確認したAは不安げに瞳を揺らす。
気分転換だと思って街に出たのに、逆に気持ちが沈みこんでしまった。そんな彼女を見てか顔を見合わせたショッピ達は、近くのスイーツ店に入る。
「甘いもの好き?」
「はい。大好きです」
「なら好きなの選んで。奢ったる」
「ホンマ?」
「Aにだけや!お前は自分で買えや」
財布の中身を見ながらチーノが怒る。ケチやなぁ、なんて言いながらショッピは適当に目に付いたものを購入した。Aは悩んだ末に、チョコレートのケーキを頼んだ。この世界にもチョコケーキがあった事に、喜びを感じている。
嬉しそうなAの顔を見て安心したチーノは思わず彼女の頭をフード越しに撫でた。
「……?どうしました?」
コテンと首を傾げるA。それがチーノの目には天使のように映り、思わず手が伸びる。
「……っ!!!」
可愛い。襲いたい。犯 したい。滅茶苦茶にしたい。本能のままに抱き殺したい。
「チーノ。抑えろ。街中やぞ。お前のせいでバレたらどないすんねん。Aは俺ら幹部だけのものやぞ。他の奴らが触ってええ女ちゃう。それに、見たやろ?コネシマさんの顔。腫れとったやん。昨日手ぇ出したからグルッペンさんに殴られたんやと」
「……ごめん」
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かす(プロフ) - かこつです。楽しませていただきました。ありがとうございます (7月17日 19時) (レス) @page48 id: b1482de086 (このIDを非表示/違反報告)
らあゆ(プロフ) - ありがとう……ありがとう……ほんまにありがとう…一気読み最高でした( ;∀;)夢主可愛すぎるだろ…ありがとう(*´;ェ;`*) (2023年3月21日 8時) (レス) @page47 id: 61afbf51de (このIDを非表示/違反報告)
♪si?do☆(プロフ) - とっても面白かったです!また面白い作品書いてください! (2023年1月6日 16時) (レス) id: 89c26ef77d (このIDを非表示/違反報告)
ヒル(プロフ) - 新しい番外編...?好き。夢主の平和ボケっぽいのがずっと抜けない感じ好き。もう、語彙力喪失。ありがとうございますほんとに番外編感謝します...! (2022年12月21日 23時) (レス) @page43 id: e3196d1b3b (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - 完結おめでとうございます!番外編が好きすぎる…。いつも更新されるたびにわくわくして読ませていただいておりました。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2022年12月16日 0時) (レス) @page41 id: 472937dc0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年11月23日 16時