16 ページ16
「Aちゃんおはよぉ！」
「大先生はAから1番遠い席座れ」
「えぇ〜！！！嫌や」
「座れ」
「はい」
Aの両端はグルッペンとゾムが奪い取った。トントンはギリっと歯ぎしりをした後、グルッペンの隣に腰掛けた。
「……あの、我儘かもしれないんですけど、私この国の街並みとか見てみたいです」
「死ぬぞ？」
「分かってます。でも、気になって。日本とはどれくらい違うのか、異世界観光だと思って」
「Aの望みはできるだけ叶えてあげたいけど、街に出たら、終わりやからなぁ」
「ええやん、別に。女ってバレなきゃええんやから。護衛で俺着いてくで」
「大先生は信用ならん！ゾムもトン氏も今日は空いてないしな。また別日に」
「グルッペンさん。俺とチーノ今日フリーっすよ」
「……襲わないと俺に誓えるか？」
「はい」
嘘をついているようには見えなかった。グルッペンは悩んだ末、頷く。
「じゃあ、頼んだ」
「わーい！ありがとうございます」
嬉しそうに微笑んだA。皆はなんとか自制心を効かせて、彼女に襲いかかるのを堪えた。Aの変装は至ってシンプルであった。
フード付きのパーカーを羽織って、胸をサラシで潰し、服の中に肩パットを入れて肩幅を増やした。
「これでええやろ。行こか。案内するで」
「ショッピさん、チーノさん。私のわがままを聞いてくださってありがとうございます」
「気にせんといて。Aとの親睦を深めるためや」
チーノとショッピはAの歩くスピードに合わせて基地を出た。Aの歩幅は自分達よりはるかに小さく、2人は優しい目で彼女を見守った。特にショッピは幼女みのあるAにかなり愛着が湧いている。
「Aって大人よな？」
「はい。成人してますよ。お酒もタバコもOKです！」
「タバコ吸うん？」
「吸いませんよ。実際はお酒もタバコも苦手なんです……っわ」
基地は山の上にある為、街に行くには山を下りなければならない。道は整備されているが、たまに動物達が置いていった木の枝などが転がっている。見事にそれに躓いたAは前傾姿勢になって倒れかかる。
「危ない！気ぃつけて」
「チーノさん、ありがとうございます」
彼女の腕を掴んだチーノ。おかげで倒れずに済んだ。5分程で街に出れた。Aの変装は完璧だった。誰も気にとめず、幹部であるチーノとショッピに挨拶をしている。
「どこ行きたいん？」
「本屋、服屋、あとはスイーツとかですかね」
「ん、行こか」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1460人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かす(プロフ) - かこつです。楽しませていただきました。ありがとうございます (7月17日 19時) (
レス) @page48 id: b1482de086 (このIDを非表示/違反報告)
らあゆ(プロフ) - ありがとう……ありがとう……ほんまにありがとう…一気読み最高でした( ；∀；)夢主可愛すぎるだろ…ありがとう(*´；ェ；｀*) (2023年3月21日 8時) (レス) @page47 id: 61afbf51de (このIDを非表示/違反報告)
♪si?do☆(プロフ) - とっても面白かったです！また面白い作品書いてください！ (2023年1月6日 16時) (レス) id: 89c26ef77d (このIDを非表示/違反報告)
ヒル(プロフ) - 新しい番外編...？好き。夢主の平和ボケっぽいのがずっと抜けない感じ好き。もう、語彙力喪失。ありがとうございますほんとに番外編感謝します...！ (2022年12月21日 23時) (レス) @page43 id: e3196d1b3b (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - 完結おめでとうございます！番外編が好きすぎる…。いつも更新されるたびにわくわくして読ませていただいておりました。本当に素敵な作品をありがとうございました！ (2022年12月16日 0時) (レス) @page41 id: 472937dc0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年11月23日 16時
