40 ページ40
翌日、Aに名指しで護衛を頼まれたことを知ったシャオロンは飛び上がって喜んだ。
「俺、Aに嫌われとる気ぃしたから嬉しいわー」
「おや、奇遇ですね。私もです」
今、2人は列車に乗っている。シャオロンは、スーツを着て、まるで裏商人のような格好をする。そしてAは、露出高めの服を着て、娼婦のような気を漂わせる。内側から潜入するのが1番早い。
「……A。合言葉決めようや。どんなに嫌言うても、俺はAからその言葉を聞くまでは動かへんし、どんな状況でも助けへん。ええな？」
「ええ、今回の調査を終わらせるのはそれが一番ですね。では、合言葉は……総統閣下、で」
「分かった」
2時間ほど列車に揺られると、寂れた街に着いた。もう既に駅は半壊しており、無賃乗車出てきてしまう設備だ。
「これが我々国…ですか」
「ああ。国境付近っちゅうのも原因やけど、元々ここらはギャングの巣窟やねん」
「取り締まりを厳しくしてもダメなんですか」
「そうやねん。軍人2人を1人で相手できる奴がうじゃうじゃ居る」
それは恐ろしい。竦む足を踏み出して、Aはシャオロンと無秩序無法のワンダーランド、フェファルに潜入捜査を開始する。
今回の目的は、フェファルの実態を確認すること、余裕があったら店のいくつかを検挙すること。
酷い匂いだ。所謂スラム街と呼ばれるような街並みと露店の匂い。フリーマーケットのようにシートを敷いて商売しているのは人間の子供や違法な薬。刺青の男が何人も街を通り、店には銃がかけてある。本当に無法地帯だ。
「ねぇ、お兄さん。やってかなぁい？お安くするわよ」
ルックスの良いシャオロンは娼婦のいい餌食になっている。
「っはは、また後で戻ってくるわ。それまで、客取らんで待ってられるか？」
「はぁい」
珍しくシャオロンもそれらしい演技をして、上手く交わす。
「そこの可愛い姉ちゃん。いくらだ？」
Aを娼婦だと思った男が訊く。好機だ。男は後ろに部下を連れていて、この辺ではいい位置についていると推測する。
Aは来る前に鬱先生から習った娼婦の極意を早速実践する。
ピッタリと男の腕に抱きつき、胸を押し当てる。上目遣いで見上げて少し頬を赤らめる。
「高いわよ？」
普段一緒にいるはずのシャオロンでさえも、ゴクッと息を飲んでしまうほどの色気。
「……来いよ、可愛がってやる」
気に入ったらしい。男はAの小さな手を引っ張り、鉄骨の見えるビルに連れ込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1002人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
通行人G - 感想ではなくすみません！他アプリなのですがプリ小説に同じのをあげていますか?同じのを見つけてしまいまして... (1月24日 2時) (
レス) @page1 id: c45e3cd912 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - クサイ演技やなぁで、俺も乗っかったる…つまりknさんもあれは演技…？めっちゃ気になる！！！！ (2022年1月13日 13時) (レス) @page50 id: b03ee76d2f (このIDを非表示/違反報告)
あああ(プロフ) - うぅぅ…sm〜〜(泣)早く真相が知りたい…何かの演技なんでしょう…！？そうと言ってぇ！！(泣)(なんか、お話に影響受けてか、ドラマみたいになった…) (2022年1月13日 0時) (レス) @page50 id: 90d5684779 (このIDを非表示/違反報告)
柚衣 - knさん…いや、私はknさんを信じます。でも。。。泣けるよぉ( ；∀；) (2022年1月12日 23時) (レス) @page50 id: a954c39e8d (このIDを非表示/違反報告)
ライ@Mallow - 嗚呼…泣いちゃうよぉ…。でもknsmさんの事だからどうにかして一番良い方法取るんだろうな…信じてますよぉ……(号泣)(やっぱり貴方様最高) (2022年1月12日 21時) (レス) @page50 id: 74ae029d2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年1月5日 18時
