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「ゆうちゃん!!」
「なんだよ。とりあえず、保健室行くか?」
「いや、それは…まずいよ。色々と理由聞かれそうだから。」
「んじゃ、早く帰るぞ。」
さくらの手をしっかりとひっぱってぐんぐんと進む。
近道を通っているはずなのに、目的地へはなかなか着かずにイライラする。
この心のイライラはきっと、そのせい。
「ありがと。」
「なにが??」
「助けてくれて。」
「・・・。」
助けてなどいない。
俺は何もしていない。
ただ、間に入って声を荒げただけ。
むしろ俺が出くわさなければさくらは顔に傷を負うことはなかったはず。
どちらかといえば、俺は騒ぎを大きくしただけのようにも思えた。
その罪悪感に比べれば、今の俺にはジャリジャリとした足に伝わってくる罪悪感なんて気にならなかった。
今のこのイライラは、俺に対してのものでもあるのか?
目の前には後者入り口。
階段を3段ほど登ればすぐに下駄箱。
その段になって、急にさくらに手を振り払われた。
急いでたせいで、前かがみになっていてよく見ていなかった。
目線を少し上げた下駄箱には、今まさに出てきたばかりであろう伊野尾くんがこちらを見ていた。
「たか、き??」
伊野尾くんは悪くない。
一方的に好意を寄せられているだけだから。
伊野尾くんは悪くない?
こうなることなんて、きっと頭のいい彼なら少なからず考えついてただろうに。
なんとも言えない感情が渦巻く。
さくらに乱暴に振り払われた腕が、痛くないようでギシギシと痛んだ。
きっと、伊野尾くんはさくらのことなんてなんとも思っていない。
それはわかっている。
むしろそれがわかっているから、こんなに気持ちが軋むんだ。
光くんと薮くんが、伊野尾くんにとっての大事な幼馴染なように、
俺にとってもさくらは大事な幼馴染だ。
それをわかってて、わかっているからこそさくらに近づいたはずだ。
俺の大事なものの”一番”になりたいがために。
「先輩、委員会終わったんですね。お疲れ様です。」
微妙な距離を取っていた3人の中、さくらがなんてことないように口を開いた。
それによって、俺にだけに向いていた伊野尾くんの視線は桜へと移動して。
「さくら、ちゃん??血が…。」
心配そうなその声に、なんだか許せなくなってイライラした感情が一気に爆発した。
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