実力派エリートの弟くん【WT】 (ページ9)

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俺の部屋も大概だと思うけど、Aの部屋は殺風景で、生活感がまるでない。

どれくらいかというと、必要最低限の寝具と机、クローゼットくらいしかなく、本当に今どきの男子高校生の部屋か？と問われても判断に苦しむくらいにはない。

でも、それもしょうがないことかもしれない。

Aはボーダー内で唯一、単独での遠征が許可されている、いわゆるエリートさんのため、頻繁に遠征に行っているからだ。

一応学生ってことは考慮されて、最低限留年はしないように、過度な遠征はさせてないんだけど、

やっぱり部隊よりは個人のほうが動かしやすいから、どうしても他と比べると頻度は高い。

もう少し楽をさせてやりたいのはやまやまなんだけど、

Aはボーダーのためになるのならって引き下がらないからな。

〝そういう頑固なところは誰に似たんだか。〟

前にレイジさんにそうこぼしたら、それはお前もだろう、って言われちゃったけど。

すやすやと、気持ちよさそうに寝ているAをベッドの上にそっと降ろし、上に布団をかけてやる。

静かに部屋を後にしようとしたとき、くん、と服の袖を引かれる感覚がした。

後ろを振り向けば、Aが寝たまま袖を引っ張っている。

思いのほか力が強い。寝ているのに。

いや、寝ているからこそ無意識に甘えが出たのかな？

何とも言えない微笑ましさが、俺の頬を緩ませる。

仕方がない、今日はAに添い寝でもしてやろう。

くつくつと喉の奥で笑いつつ、朝目が覚めて俺と一緒に寝ていたということに混乱するであろうAを想像しながら、俺も眠りにつくのであった。

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