5 太刀川 ページ6
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「おいA!お前よくやった!」
「えっ、えっ?ちょ、急に、なん、ですか〜」
太刀川さんに肩を掴まれ、前後に激しく揺さぶられる。視界がぐわんぐわんと動く。
あ、まって、吐く。Aくん吐いちゃう。
「待って待って太刀川さん!A吐きそうだから!」
「あ、すまん」
ぱっ、と手を離され、思わずその場でたたらを踏むと、風間さんがそっと支えてくれた。ありがとうございます。
視界の揺れが落ち着いてから、太刀川さんに改めてどうしたのかと聞く。
すると、俺の貢献によって兄さんの風刃が献上されなかったことが、太刀川さんの機嫌のよさの理由らしい。
ああ、負けたって言ってたしな。リベンジマッチでもしたいのかも。
思わず引いてしまうほど感謝された。お礼に餅?いやいいです。
そんなくだらないやり取りを太刀川さんとしていたら、風間さんが兄さんに話しかけた。
「なあ、迅。今回は、Aの貢献に免じて風刃を手放すことにはならなかったが、あのネイバーには、お前が風刃を手放すほどの価値はあるのか?」
すると兄さんは、あー、太刀川さんには話したんだけどね…。と話し出した。
俺はSEで視て知っているので、その間太刀川さんと話をしようと近くへ寄った。
話しかけようとするとあっちから話しかけてくれた。ありがたい。
「なあA、遠征前の賭け、覚えてるか?どちらが先に帰還するかってやつ。
先に帰還してた方の言うことを一つ聞くって報酬の。俺の場合は模擬戦のな」
「ええまあ覚えておりますとも。今日帰って来た時、横に遠征艇あるの見て軽く絶望しましたもん」
「てめ、なんで絶望なんだよ。俺と戦えるなんてごほーびだろうが」
「それ米屋とか一部の戦闘狂だけにですから。俺は至ってノーマルです」
あと、ご褒美くらい漢字表記したらどうですか。頭の悪さ丸わかりですよ。と続ければ、
俺はいいんだよ。と返される。それでいいのか大学生…。
でも、何だかんだ言っても、攻撃手1位の太刀川さんと戦うのは勉強になる。
近いうちに隊室にお邪魔しますね。というと、おう!なんて嬉しそうに返事をする太刀川さん。
もしかして俺より精神年齢下なんじゃないか、なんてぼんやりと考えながら、風間さんと兄さんの話が終わるのを待っていた。
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マツリ - 面白いです!!見ててほっこりします...(*^^*)少し質問なんですけど、男主くんの目ってどんな雰囲気を持っていますか?クールとかつり目とかでかいとか... (2018年12月23日 20時) (レス) id: c4efd4a77a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春夏秋冬-ヒトトセ- | 作成日時:2017年3月19日 22時