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生贄の子供 ページ2
「赤司! またなのだよ!」
だだっ広い魔王城の廊下を駆け抜けて緑間が謁見の間に現れる。高い位置にある玉座に腰かける赤司
は大慌ての緑間とは対照的に悠然と紅茶を飲んでいた。
「どうした緑間。また反乱か?」
「違う! また人間が生贄の子供を寄越したのだよ!」
そう大声で叫ぶ緑間の腕の中には布に包まれた小さな子供が眠っている。その少女に目を向けると赤
司は紅茶を置いて立ち上がった。
「どれ。今度はどんな子供かな?」
「女の子なのだよ。可哀想に。目が腫れているのだよ。家族と無理矢理引き離されたのだろう。」
「生贄を寄越したところで魔物に人間界へ干渉する力はないというのに。早いところ人間界に返して……」
「お兄ちゃん達だあれ?」
布をいつの間にか取っ払ってその少女は顔を上げる。すると少女に顔を近づけていた赤司の額と見事
にぶつかった。
「……」
「……」
「「可愛い(のだよ)。」」
少しの沈黙の後に二人の見解が一致する。これが愛が魔王城で育てられることになった一連の流れで
あった。
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作者名:ワイン | 作成日時:2020年9月10日 21時