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「凄いのう、Aは」
「……なにが」
「あんたに名を呼ばれるだけでワシは幸せでたまらんのじゃ」
ぬらりひょんの一つ一つの仕草が、総て私を愛おしむもので
髪を撫でるのでさえも優しくて私自身が宝物になったかのような気分になる
「Aに呼ばれるだけで、己の名がえらく特別なものに思える」
「……大袈裟だな」
「大袈裟かもしれんが、ワシにとってはそれほどのことなんじゃ」
たかが名前、されど名前
今まで幾千幾万と呼ばれただろう己の名が、Aという人物に呼ばれるだけで光り輝くのだ
「やっぱりあんたは特別じゃ。
Aがいれば、そこらに転がるただの石も宝石になる気がするのう」
「いやそれはただの気のせいだ」
「そんな本気で返してこんでもええじゃろ。
気分の話じゃ、気分」
ぬらりひょんにとってのAはそれほどまでの存在
ぬらりひょんにはきっと言わないがAにとってぬらりひょんという存在もまた同じ存在
流石にぬらりひょんが言うようにそこらの石が宝石になる気はしないが、そんなただの石も特別なものに思えるほどぬらりひょんは既にAの心の奥底に根付いている
「夫婦、か」
「A?」
「……早く、なりたいものだな。夫婦に」
何よりも愛おしい女にそんなことを言われてしまえば、男…もといぬらりひょんが動かぬわけにはいかない
というか動くしかない
「よし、何がなんでも今月のうちに祝言をあげるぞ!」
「は……?」
Aはいやいやいや待て待て待て。と心の中で言う
今は月末で今月はあともう五日しか残されていない
「ま、え、ちょっと待てぬらりひょん」
「カラス!!!!カラスは何処じゃ!!!」
私を離したぬらりひょんはどデカい声で鴉天狗を呼び付ける
総大将に呼ばれた鴉天狗は疲れた顔でパタパタと飛んできたではないか(その顔色でどれほどの仕事が押し付けられたかなんとなく察した)
「な、なんですか総大将……ていうか仕事してください……」
「おお、来たか。
カラス、ワシに喧嘩売ってきた奴らの組はどれほどあったかの?」
鴉天狗の言葉は完全スルーで自分の話をするぬらりひょんにAは呆れたが鴉天狗は気にしてないのか、普通にぬらりひょんの言葉に返す
「えーっと、確か三つほどだったかと。
東の方の鬼の組とうちの化猫組に敵対する猫又の組
あとは北の方に猿妖怪の組でしたかな、確か」
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Yoduki(プロフ) - 面白いです!続きが楽しみです (2019年9月13日 23時) (レス) id: 64cce11da8 (このIDを非表示/違反報告)
Yoduki(プロフ) - 最高です!続きが楽しみです! (2019年9月9日 12時) (レス) id: 64cce11da8 (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - 0429chuyaさん» コメントありがとうございます!頑張りますので、引き続き愛読よろしくお願いしますm(_ _)m (2019年8月25日 13時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - Yodukiさん» コメントありがとうございます!これからも愛読よろしくお願いしますm(_ _)m (2019年8月25日 13時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
0429chuya(プロフ) - とても面白くて大好きです!!もうすっごく最高です!!!!いつも続き楽しみにしてます!!!!!! (2019年8月22日 18時) (レス) id: d35d3612e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:江 | 作成日時:2019年7月29日 20時