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二一章『暴走と真名』 ページ32

*
体中の血が沸騰したかと思った。……全身が焼けるみたいに熱く感じた。

(――憎い)

ドクドクと、耳鳴りがする。
まるで、私の心臓をもぎ取って、耳元に持ってきたみたい。

(――人が憎い)

憎しみが強くなるたび、耳鳴りがひどくなっていく。

(――人なんて、消えればいい!!)

私の心が暗い絶望に囚われた。
瞬間。

「あ、……うっ!!?」

帯に挟んだ羅刹から、普段溜めていた力が逆流するのを感じた。
……私の意思とは無関係に。

「う……、あ゙、がっ!?」

体中に走る痛み。
今度は逆流した力と、もともと体内にある力が混ざって、皮膚を突き上げる感覚。
――四肢がちぎれて、はじけ飛ぶかと思う衝撃に、濁った悲鳴を上げた。

同時に。
大量の神気が外に向かって溢れ出た。

それは、黒銀の色をした閃光。
辺りが私の生み出したその光に塗りつぶされた。






――――――――――――ドンッ!!!!!!!




まるで山津波が起こったような爆音。
一瞬にして、辺りから人の気配が消えた。

「……!!」

(……なに、聞こえないよ?)

私を抱きしめる大鵬が、何かを叫んでいた。
でも、なんて言ってるかわからない。

ただ。
私は人が憎かった。

(大切な皆(かぞく)を拒絶するならば……)

――もう。
兵士の気配は感じないのに、溢れる神気を止められない。


(人なんて、この世界から消えればいい!!)

そんな憎しみだけが、私の力の動力源だった。



……何も考えられなかった。


*





『――羅刹!!』




呼ばれた。


そう思った。


『羅刹っ!!』


また、呼ばれた。


私のもう一つの名前。
……大鵬の花嫁の、証の名。


それに気が付いたら。
今度は唇に触れる温かく、柔らかなもの。

(――――大鵬?)

そこから、暖かくて優しい神様の気配が流れてきた。

「お前に、未来を見せてやろう」

今度ははっきりと。
大鵬の声が聞こえた。

「み、ら……い?」

溢れ出る力は止まらない。
黒銀の光のなかで、私と大鵬は二人きりだった。
私の力は、迷い家を吹き飛ばしていた。
でも。まだ大鵬の結界のなかにいた。

――私の力。
山を吹き飛ばしそうな力。
人里に向ける憎しみを……、大鵬の結界が押しとどめていた。


「そうだ」

大鵬は、ただ優しく。
穏やかに笑った。

「我の名を呼べ」

「……? 大鵬の名?」

憎悪に支配された心が、少しずつ冷静になってきていた。

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設定キーワード:和風ファンタジー , 妖怪 , 羅刹   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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一花(プロフ) - 零玲飛(れいれと)さん» コメント有り難うございます。そう仰っていただけ、非常に嬉しいです。ここまで目を通してくださったことに感謝します!! 本当にありがとうございます。 (2015年1月28日 21時) (レス) id: c6c51ef31b (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - 感動して泣くかと思った。お疲れ様です。 (2015年1月22日 20時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 光珂さん» ありがとうございます。……誤字量の多さが(-_-;) しっかり読んでくださり感謝します。また、後日直します。そして、番外編の件……有り難うございます! おそらくひと月以上開けて、とか忘れたころになるかと思いますが、宜しければ、お願いいたします(多謝) (2015年1月15日 22時) (レス) id: c6c51ef31b (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - (続きです) 43話目の下から9行目 「まずはこのの人の」→「まずはこの人の」 だと思います! 一応番外編までは確認しようと考えておりますが、もし本編のみで良ければ返信くださると助かります。あ、遠慮はなさらないでくださいね。 (2015年1月4日 2時) (レス) id: 21af548d66 (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - 深夜にすみません。 37話目の下から16行目 「それだだけ」→「それだけ」。 40話目の13行目 「私をの力を」→「私の力を」。 同じく下から8行目 「温かな光のなで」→「温かな光の中で」。 41話目の9行目 「大鵬のい気配」→「大鵬の(いる)気配」。 (続きます) (2015年1月4日 2時) (レス) id: 21af548d66 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一花 | 作成日時:2014年8月31日 10時

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