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朱ノ姫が己の火気を与えて身の内に飼う眷属は、最初に乗せてもらった火蛇(かじゃ)以外にも、長距離を飛んで移動する火鳥(かちょう)もいる。
だから、納得した。


「じゃあ、皆はもうでかけたの?」

「あぁ、今夜は富士の山で月見だ! と笑って出発なさった」

「……富士のお山まで行くの?」

確かに東国だ。しかし、思い付きで飛んでいくには遠すぎないだろうか。
けっこう時間がかかりそうだな、と思った。

「……大鵬様の望みだ」

「……わかった」


こっくり頷いた。
それが夫の急な思い付きであれ何であれ。
大鵬が決めたことに、青蘭は否を唱えたりしない。
それは、私も含めてこの館に住まうものすべてがそうだったから。
私は青蘭とともに雲進に乗り込んだ。


*
夜明けの空を飛ぶ。
空の茜はどんどん濃い色になって。
それから、白みをおびた群青色に変わる。
いつのまにか、金色の太陽が私たちを照らしていて。明け方の冷え込みが嘘のような温かさを感じたら。
空はいよいよ薄青く澄んだ、真昼に見る館の池そっくりな水色に変わる。

「きれいだね」

「……そうだな」

私と青蘭は二人並んで雲進の上に座り込んで、うつろう空の色を見つめていた。
しばらくして。

ぐ〜、と二人そろって腹の虫が泣いた。

「あはは! そういえば朝ごはんもまだだったね」

そういって青蘭を見た。

「……。そうだな」

心ここにあらずといった顔をしていた彼が、そういえば……と自分の腹を見た。

「朱のババァに握り飯を預かったのを忘れていた」

「え」

「腹が減ったら食べろ、ってさ」

「……じゃあ食べようよ!」

「……そうだな」

「うーん。じゃああそこ!」

今飛んでいるのは、美濃の辺り。
私は真下にある、松尾山の頂上を指さした。

一七章『終わりの刻(とき)は、突然に』→←▼



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設定キーワード:和風ファンタジー , 妖怪 , 羅刹   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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一花(プロフ) - 零玲飛(れいれと)さん» コメント有り難うございます。そう仰っていただけ、非常に嬉しいです。ここまで目を通してくださったことに感謝します!! 本当にありがとうございます。 (2015年1月28日 21時) (レス) id: c6c51ef31b (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - 感動して泣くかと思った。お疲れ様です。 (2015年1月22日 20時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 光珂さん» ありがとうございます。……誤字量の多さが(-_-;) しっかり読んでくださり感謝します。また、後日直します。そして、番外編の件……有り難うございます! おそらくひと月以上開けて、とか忘れたころになるかと思いますが、宜しければ、お願いいたします(多謝) (2015年1月15日 22時) (レス) id: c6c51ef31b (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - (続きです) 43話目の下から9行目 「まずはこのの人の」→「まずはこの人の」 だと思います! 一応番外編までは確認しようと考えておりますが、もし本編のみで良ければ返信くださると助かります。あ、遠慮はなさらないでくださいね。 (2015年1月4日 2時) (レス) id: 21af548d66 (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - 深夜にすみません。 37話目の下から16行目 「それだだけ」→「それだけ」。 40話目の13行目 「私をの力を」→「私の力を」。 同じく下から8行目 「温かな光のなで」→「温かな光の中で」。 41話目の9行目 「大鵬のい気配」→「大鵬の(いる)気配」。 (続きます) (2015年1月4日 2時) (レス) id: 21af548d66 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一花 | 作成日時:2014年8月31日 10時

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