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「……そっか」

少年は神妙な面持ちで頷いた。

「まぁ、元気出せよ!! 俺も去年は飢饉で妹が死んじまったけど。まだ生きてる以上はあいつのぶんまでいきなきゃなー、って思ってるしさ!」

(……だいぶ、前向きな人だな)

家族(いもうと)の死を、笑って話す少年は。
その子の分まで生きるという。

「うん、そうだね」

――私も、大鵬達が繋いでくれた命を無駄にはできない。
大好きな神様達が生かしてくれた命を精一杯生きたいと思った。
大鵬の願いを叶えるためにも。

(大鵬の言ったとおりだね)

私はもういない人を思って心でつぶやく。
……私も、目の前の少年も。
何があっても生きようと、未来(あした)へ進もうとしているのに変わりはないと思った。

だから聞いた。

「弟さん、病気だって言ってたけど、どんな病気? 必要な薬草は取れた?」

「いや、それがまだなんだ。何かにあたったのか、高熱だしてて……それから、腹を壊してる」

「うーん。お腹も下してるなら、食べ物か水にあたったのかな? 家族が平気なら、弟さんだけで何か食べたのかな?」

「あー。あいつ、山に入ってそこら辺になってる木の実やらなんやら食べてることあるな」

少年がぽんと手を打った。

「なら、この時期だし毒茸でも食べたとかかな」

「あいつのことだ……。うん、その線は大いにある!」

おまえ物知りだな、と笑われたけど。
そんなことないよ、と返した。

「……全部。家族が教えてくれたんだ。薬になる草、毒になる草……私、あなたの役に立てるかも。よかったら、薬草さがし手伝わせてください」

老師父から自然に生える草木の知識は一通り教わっていた。
せっかくの知識だ。今、目の前で困っている人を助けるために使うのはきっと正しいことだと思う。

「いいのか!?」

少年が助かったという顔をする。

「いや、薬草を採りに来たのはいいけどさ。俺あんまりそういう知識ないんだ。……草の間かき分けて見たけど、みんな同じに見えてさ」

そういって照れ笑いを浮かべる少年に。

「いいよ。私の家族は皆いなくなっちゃったから、代わりにあなたの家族の力になりたい」

行くところもないし、と笑って見せた。

「そっか。いやー、助かる! 妹は助けらんなかったから、弟は絶対死なさないって決めてたんだ!」

▼→←終章『生きる、そして』



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設定タグ:和風ファンタジー , 妖怪 , 羅刹   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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一花(プロフ) - 零玲飛(れいれと)さん» コメント有り難うございます。そう仰っていただけ、非常に嬉しいです。ここまで目を通してくださったことに感謝します!! 本当にありがとうございます。 (2015年1月28日 21時) (レス) id: c6c51ef31b (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - 感動して泣くかと思った。お疲れ様です。 (2015年1月22日 20時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 光珂さん» ありがとうございます。……誤字量の多さが(-_-;) しっかり読んでくださり感謝します。また、後日直します。そして、番外編の件……有り難うございます! おそらくひと月以上開けて、とか忘れたころになるかと思いますが、宜しければ、お願いいたします(多謝) (2015年1月15日 22時) (レス) id: c6c51ef31b (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - (続きです) 43話目の下から9行目 「まずはこのの人の」→「まずはこの人の」 だと思います! 一応番外編までは確認しようと考えておりますが、もし本編のみで良ければ返信くださると助かります。あ、遠慮はなさらないでくださいね。 (2015年1月4日 2時) (レス) id: 21af548d66 (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - 深夜にすみません。 37話目の下から16行目 「それだだけ」→「それだけ」。 40話目の13行目 「私をの力を」→「私の力を」。 同じく下から8行目 「温かな光のなで」→「温かな光の中で」。 41話目の9行目 「大鵬のい気配」→「大鵬の(いる)気配」。 (続きます) (2015年1月4日 2時) (レス) id: 21af548d66 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一花 | 作成日時:2014年8月31日 10時

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