一人 ページ41
「お、君が噂の。」
と、先生はクロを見るなりそう言って
「よく、頑張ったね。君のおかげで助かったようなもんだよ。」
と、背中を叩いていた。
私は訳がわからなかったが顔に出さないようにした。
先生は多分、というか確実に私の体調を聞きに来ただけだろうから。
「あ、それはそうと、Aちゃん、調子の程は？」
「大丈夫そうというか、いつも通りの感じです。」
「そっかそっか。それならよかった。
じゃあ、ご両親に伝えるから今日のうち来れたら今日退院ね。」
「わかりました。ありがとうございます。」
と言って笑いかけると、先生も笑い返してくれた。
そして、じゃあ、と手を上げてから病室を出た。
「…本当に大丈夫なのか？」
クロはすごく重い声でそう言った。
「うん。別に平気だよ。」
ニコッと、そう言う。
だけどクロは納得していないようだった。
でも私に納得させる技術もないし、根拠もない。
だから私はそのあと何も言わないで、ただクロを見るだけにした。
「そういえば、今日Aの母さんから送られてきたんだけどよ。」
そう言ってクロはスマホを取り出し、一枚の写真を見せてきた。
それは多分、今朝、母が撮った写真だった。
光が程よく差し込んで、空気を光らせる。
そして、薄い青みがかった影に覆われた私。
コントラストとか言うものが、きれいに分かれていて、まるで私が今にも消えそうに、儚く写っていた。
ただ、私の位置にいるのが私じゃなくてもっと可愛い子なら一枚の絵になったのにって思った。
だけど、クロは思いもよらないようなことを言う。
「これ、すんげえ綺麗に撮れてるよな。」
確かに、そう言った。
そんなことないのに、と思ったが、確かに私以外は綺麗に写っている。
「そうだね。私さえいなければだけど。」
「いや…この写真にはAが必需だ。」
「え、いらないよ。」
「いる。」
「いらない。」
「絶対いる。」
このままじゃ堂々巡りだ、と思って私は拒否するのをやめた。認めはしてないけれど。
それから、しばらく無言の時間が続いた。
だんだん、その時間が気まずくなってきて必死に話題を探し始める。
しかし、何もない。
私は心の中でクロから話題を振ってくることを願った。
でも、その必要はなかった。
「ごめん、そろそろ帰るわ。
退院できたとしても、次の日学校は無理すんなよ〜」
と、言ってクロが帰ってしまったから。
その時安心のような寂しさのようなものを感じた。
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あ - 内容がすごいわかりやすいです。続き待ってます (2020年5月7日 22時) (
レス) id: 2b1a6cecc8 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - kajjjenさん» 読んで頂き本当に感謝です…！！それに面白いなんて言って頂けて嬉しいです…！！応援、ありがとうございます、更新頑張ります！！ (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 清川さん» 全然わかりやすいっすよ…！！そしてな、なんと！！？？そんな…嬉しすぎます…！！頑張ります！！本当にありがとうございます！！嬉しすぎて…(´；ω；｀) (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
kajjjen - コメント失礼します！初めてこの作品を読ませてもらいましたが本当に面白いです！応援してます(^^) (2020年4月6日 9時) (レス) id: 6e12a7e235 (このIDを非表示/違反報告)
清川 - hitoesasamiさん» 俺、文作るの下手だから、伝わってよかった^^ログイン出来てないからお気に登録できないけど、ログインしてたら絶対お気に登録してた。しかも俺の中で☆100くらいついてるw頑張れ (2020年4月1日 20時) (レス) id: bdf93be9d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hitoesasami | 作成日時：2020年3月26日 3時
