異様 ページ32
「誰だよバスケットゴール壊したやつ。」
と、夜久がカッカしていた。
「バスケ部の1年が調子乗って体育でやったんだとよ。」
そう俺が答えると、「でも体育館は使っていいだろ。」と、夜久がさらにカッカして言い返した。
確かに、部活中止の要因だからカッカする理由もわかる。
バスケットゴールを壊した輩のせいで体育館が侵入禁止になり、更に室内系の運動部は帰宅することとキツく言われてしまった。
ただそれよりも、Aが「勘弁して」と言って泣いていたあの顔が頭から離れなかった。
何にそう思ったのか、一切わからないが俺が苦しめているのだけはわかった。
「…なんか、あそこに人うずくまってね?」
そう、一足先を歩く夜久が指差した先には確かに人がうずくまっていた。
しかも、音駒の制服で女子だった。
「…あれ、あの子、前、黒尾が3対3に誘った子じゃない?」
と、海が目を凝らしてそう言った。
俺も目を凝らして、うずくまる人を見る。
「…なんか、ヤバそう。」
そう、研磨が呟いた。
確かに、夜久が見つけた時よりも苦しそうに見える。
俺たちは走って、その人の様子を確認しに行く。
「…クロ…。」
と、研磨が俺のを見上げた。
うずくまって、苦しそうに唸っていたのは海の言う通り、Aだった。
俺は、Aの肩を叩き「大丈夫か?」と聞く。
その声に驚いたのか、大きく肩を揺らして、Aは振り返った。
まるでカラーコンタクトを入れているかのように真っ青な目で、酷く怯えたようにしてAは俺たちを見た。
瞬きをすることもなく、ただただ黒目を小刻みに揺らして、俺たちを見ていた。
「おい、大丈夫かよ。」
「大丈夫?」
「A、どうしたの…?」
俺たちは、ただ声をかけることしかできなかった。
しかし、Aは何も答えず、震えが酷くなる一方だった。
そして、一瞬だけ目の震えが止まったかと思うと、目を疑うようなことが起こった。
黒目の色が、更にじわじわと変化していったのだ。
まるで、布が水を吸うように、じわじわと、黒目の色が、赤紫と青のグラデーションに変わっていった。
そして、誰もが目を奪われるほど綺麗なグラデーションが出来上がった瞬間、
Aは目を瞑り、そのまま倒れた。
場が凍りついた。
100人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あ - 内容がすごいわかりやすいです。続き待ってます (2020年5月7日 22時) (レス) id: 2b1a6cecc8 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - kajjjenさん» 読んで頂き本当に感謝です…!!それに面白いなんて言って頂けて嬉しいです…!!応援、ありがとうございます、更新頑張ります!! (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 清川さん» 全然わかりやすいっすよ…!!そしてな、なんと!!??そんな…嬉しすぎます…!!頑張ります!!本当にありがとうございます!!嬉しすぎて…(´;ω;`) (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
kajjjen - コメント失礼します!初めてこの作品を読ませてもらいましたが本当に面白いです!応援してます(^^) (2020年4月6日 9時) (レス) id: 6e12a7e235 (このIDを非表示/違反報告)
清川 - hitoesasamiさん» 俺、文作るの下手だから、伝わってよかった^^ログイン出来てないからお気に登録できないけど、ログインしてたら絶対お気に登録してた。しかも俺の中で☆100くらいついてるw頑張れ (2020年4月1日 20時) (レス) id: bdf93be9d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:hitoesasami | 作成日時:2020年3月26日 3時