明日死んだら ページ33
「研磨、救急車！」
と、携帯を触っていた研磨に伝え、Aにひたすら声をかける。
横目で、研磨がかけた電話を海が代わり、受け答えを始めたのがわかった。
突然、何かに気がついたように、夜久が口と鼻の辺りに耳を近づけると、
「おい、息してねえよ！」
と、言った。
その言葉が、さらに全員を焦らせた。
「クロ、心臓マッサージ。」
そう研磨が呟くように言う。
「俺、模型のやつでやらされた時、5センチも押し込めなかったし…多分救急車に乗せられて、たくさん質問される筈だから…。
最近のAの様子をまとめておく…。」
と、研磨が言った。確かに、何か質問された時困るのは研磨だ。
そして、同時に、
『心臓停止から3分で細胞が死んで、1分で10%生存率が下がる。』
『肋骨を5センチ沈めるほど強く押して、一定のリズムで。』
いつかの保健の授業でやらされたことが頭をよぎった。
こんな所で役に立つとは思わなかった。
「夜久、ティッシュ持ってっか？」
「あるけど、どうすんだ？」
そう渡されたティッシュを、Aの口に被せる。
「あと6分くらいでくる。」
電話を終えた海がそう言った。
6分くらい、いつもの練習に比べたら相当楽だ。
そう思い、俺は必死に腕を動かし続ける。
そして、時々Aの顎をくっと上に向け、思いっきり吸った息をAに送り込む。
肺が膨らむのがわかるくらい、息を受け渡したら、また腕を動かす。
夜久も海も、Aすら知らない相手なのに必死に声がけをしていた。
遠くからサイレンの音がする。
その音を聞いた夜久たちが立ち上がる。
救急車が近くに止まると、「ここです！」と海が叫んだ。
走って駆けつけた救急隊に
「よく頑張ったね。あとは任せて。」
と、言われてAから立ち上がり、離れる。
そして、夜久が飲み物を俺に渡した。
「黒尾がやってる間、海と急いで買って来た。」
「どなたかご家族の方は。」
救急隊の1人がそう、聞く。
俺は研磨を親指で指して、「双子なら、ここに。」と言った。
「わかりました、では一緒に。」
そう言われ、研磨はかなり心配そうな顔で救急車に乗った。
残された俺たちは救急車が発進するのを見届けた。
「飲み物、サンキュー。」
渡された飲み物を開けて飲む。
ふと、「明日私が死んだらどう思う。」とAの声が頭の中に響いた。
…まさかな。
俺はそれ以上考えるのをやめた。
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あ - 内容がすごいわかりやすいです。続き待ってます (2020年5月7日 22時) (
レス) id: 2b1a6cecc8 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - kajjjenさん» 読んで頂き本当に感謝です…！！それに面白いなんて言って頂けて嬉しいです…！！応援、ありがとうございます、更新頑張ります！！ (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 清川さん» 全然わかりやすいっすよ…！！そしてな、なんと！！？？そんな…嬉しすぎます…！！頑張ります！！本当にありがとうございます！！嬉しすぎて…(´；ω；｀) (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
kajjjen - コメント失礼します！初めてこの作品を読ませてもらいましたが本当に面白いです！応援してます(^^) (2020年4月6日 9時) (レス) id: 6e12a7e235 (このIDを非表示/違反報告)
清川 - hitoesasamiさん» 俺、文作るの下手だから、伝わってよかった^^ログイン出来てないからお気に登録できないけど、ログインしてたら絶対お気に登録してた。しかも俺の中で☆100くらいついてるw頑張れ (2020年4月1日 20時) (レス) id: bdf93be9d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hitoesasami | 作成日時：2020年3月26日 3時
