夏の終わりと始まり ページ30
その日から、私は人喰いと呼ばれることはピタリとなくなった。
私が牢にいる間に、彼が偉い人と只管交渉してくれたおかげだと勝手に思っている。(あながち、間違いではないようだが。)
呼ばれることがなくなったと同時に、私は彼の下で働くことになった。
つまり、私はマフィアに所属することになったのだ。探偵社への辞表は失礼だが、敵となった以上合わせる顔がないので郵送させてもらった。
そして、人外的且つ、異能力者が恐る太宰さんの異能力が効かない私の存在はかなり需要があった。
きっと喰種史上初となる人間に受け入れられた喰種だろう。
更に、忘れかけていた、いや忘れていた前の世界の記憶を取り戻し、以前は芥川さんの攻撃が効くようになっていたのだが無事効かない体に戻った。
喰種の力が薄くなるのは記憶のせいだ、と勝手に結論つけてとりあえず無くしてた記憶を私はノートに思い出せる限り書き留めた。
きっとこの先記憶がなくなる心配はないだろう。
ただ。
前の記憶が残る以上、彼ら、あんていくの人たちのことを思い出すことになる。
思い出す。
会いたくても、声だけでも、存在だけでも感じたくても、会えないし、聞こえないし、感じれない。
今中也さんの元で、そう私がずっと好きだった詩人の元で働けようが、
今が、どれだけ幸せでも
いや…。
いや…
いや、きっと今私が元の世界に戻ったら
確かに、会えて嬉しいだろうけれど。
確かに、願いは叶うけれど。
きっと、泣いてしまうだろう。
寂しくて、温かさが恋しくて泣いてしまうだろう。
今、彼の隣、右腕として一歩後ろを歩いている。
変わり続ける街で、私だけが何も変わらない、この関係が変わらないことを望んでいる。
いつ千切れるかわからないくらい薄い関係で
恋人、みたいに強い繋がりじゃなくて
右腕、っていう見にくい繋がりが変わらないことを。
今年も夏が終わる。
でも、来年の夏にナツは居ない。
そのことを私はずっと望んでいる。
彼の、大好きな人の隣で。
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hitoesasami(プロフ) - 珈世さん» >>また、他にも評価が高い作品が多い中で、この作品を読んで頂きありがとうございました。 少しでも楽しませられたら幸いです。 本当にありがとうございました (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 珈世さん» ご指摘、ありがとうございました。本当に助かります…orzすぐ、誤字や誤った設定をしてしまう癖があり、誤字などがある作品の印象って悪くなると思うんです…。なので、珈世さんのような方がいらっしゃると本当に助かりますorz >> (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - Nightさん» >>また、文ストと混ると言うことは、文ストは好きだけどグロは苦手、と言う人も読めるような、マイナスな印象を与えず書けていたみたいで良かったです。 最後になりますが、他にも引き寄せられる作品がある中で読んでいただき本当にありがとうございました。 (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - Nightさん» Nightさん、コメントありがとうございます。内容を好んでいただけて、本当に嬉しい限りです…昇天できます…。それと、文ストと混ぜる、そして文ストの世界に転生する夢主が喰種という不思議な設定が上手く惹きつけられる要素になっているようで安心しています…orz >> (2020年2月20日 1時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 夜雨ナナトさん» >> 最後になりますが、数多くの作品の中でこの作品を読んで頂きそして、応援していただき本当にありがとうございました (2020年2月20日 1時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:hitoesasami | 作成日時:2020年1月15日 0時