移る熱、奪う唇。/gr ページ29
グルッペンってキス魔だったんだ。
息をする暇もないほど。
貪るように私の咥内を蹂躙するグルッペンの舌。
苦しくてチカチカと光る脳内。
飛んでしまわないように必死で他の事を考えて意識を繋ぎ止めた。
「はふっ…グル、ッペ、ん。」
一瞬だけ唇が離れた際に呼んだ名前にも気付かないのか、気付かないふりをしているだけなのか。
再び熱いグルッペンの唇に塞がれて声は吸い取られる。
上あごを舐められると背中にぞわぞわとした電流が走る。
唇の端から零れた唾液が顎まで伝わる感触がやけに鮮明に感じられた。
苦しくて何度も肩を押したり叩いたりを繰り返しても全く振りほどけない。
後頭部に添えられた手は顔を逸らす事を許してはくれないし、腰に回された手は逃げられないように力強くグルッペンへ引き寄せられていた。
ガクガクと震える足も、体を壁に押さえつけられているから倒れる事だってできない。
このままグルッペンに食べられて死んじゃいそう。
細く繋がっていた意識の糸が切れかけた時、やっとグルッペンの唇から解放された。
悲しくもないのに溢れる涙を貯めた目でグルッペンを見つめても、彼は一言も喋らない。
ただじっと熱を持つ赤い瞳で私を見つめる。
二人分の荒い呼吸音がやけに卑猥に思えた。
赤く染まるグルッペンの頬と目元。
いつもよりも濃い匂い。
汗とお酒の匂いなんて不快でしかないはずなのに、酷く甘ったるい。
「A………。」
掠れた低い声。
絞り出すように、何かに耐えるように、こんなに熱情的に名前を呼ばれた事なんてない。
「お前が、欲しい……。」
一時の欲望なのかもしれない。
お酒のせいなのかもしれない。
ただグルッペンの唇ですっかり熱を持ってしまった体はその言葉に素直に喜んだ。
じわりと下腹部が熱くなるのが分かる。
体が勝手にグルッペンを求めてしまう。
グルッペンに支配されたくて仕方ない。
朝、覚えてなくてもいい。
気の迷いでも、お酒のせいだとなかったことにされてもいい。
返事の代わりにかかとを上げた。
もう一度、その唇から熱を奪うために。
ダムが決壊したかのように、性急に体に這うグルッペンの手のひら。
足の間にねじり込まれた片足。
ぐりぐりと膝で刺激されてしまえばもう堪らなくなって全身の力を預けた。
早くちょうだい。
もっとその熱で私を溶かして。
あなたに食べられる準備はすでにできている。
だから残さず食べてね、グルッペン。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 840人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ことこ(ドS娘)(プロフ) - だいぶ前の小説にコメント失礼します。あなた様のエミさんの認識はどうなってるんですか…変態ですか……好きです｡｡｡｡｡｡｡ (2020年12月2日 22時) (
レス) id: 5e03690c33 (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - あ、良かったーびっくりしたゾ（笑）というか見てますよ…！もう光の速さで短編集3へ飛んでったンゴ！そして幸せになりました(小並感) (2017年11月19日 9時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 生真面目な炊飯器さん» 垢間違えてました(笑)短編集３もできましたのでぜひ見て頂けると嬉しいですー！ (2017年11月19日 1時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - 短編2までお疲れ様でした♪次は3ですか！楽しみだー（*＾＾*)心ぐるぐるっ待ち♪してます（笑）いつも素敵なお話ありがとうございます！ (2017年11月18日 6時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ひらめさん» ひらめさんコメントありがとうございます！そして今まで気付いてなくてすみませんでした！(笑)シッマは難しいんですがコネシマスター達の為にもっと書けるように精進します！！今後も仲良くしてくださいね！！ (2017年11月15日 19時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
