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「これで私の話は終わり。どうだった?ゾクゾクした?」
「優勝、Aちゃん。」

にこりと笑ってみんなを見渡せば、トントンくんが片手を上げて宣言する。
それに対してみんなは「異議なし」と口を揃えた。

「やったぁ!どうしようかなぁ、やっぱゾムくん、鬱先生、コネシマくんあたりにお願いしようかなぁ。」
「そうだな。こき使ってやるといい。」

ゾムくんたちがあからさまに焦る様子を楽しそうに見つめる。
話の途中から私が誤解をしている訳ではないと察したグルッペンが余裕を取り戻していた。
私の肩に回る腕をトントンと突くと顔を寄せてくる。

「あのね、グルッペン。」

グルッペンの耳元に口を寄せて口を開く。
実はお願いはもう決まっているのだ。



「まだ見てるのか。」
「ふふふっだって嬉しいんだもん。」

ベットの上で寝転びながら見つめる写真。
談話室であの後みんなで撮った写真だ。
一番前の中心で笑う私とグルッペン、その周りをぐるりと囲って最高の笑顔を見せる仲間たち。
私の優勝賞品としてみんなにお願いして撮ってもらったのだ。

写真の中のグルッペンはあの女の人と写っていたものと違って、口元を僅かに上げ微笑んでいる。

「おい、本物はこっちだぞ。」
「何?写真に嫉妬してるの?」

手の中の写真を取りあげられギシリと音を立ててグルッペンが覆いかぶさってくる。
首元にかかるサラサラの金髪がくすぐったい。
くるりと体を反転させると熱っぽい瞳をしたグルッペンを目が合う。
寄せられる顔に目を閉じると、唇に感じる熱い感触。

「俺にはお前だけだ。今も、昔も。」

恐らくあの写真の事を言ってるのだろう。
誤解なんてもうしてないから心配しなくても大丈夫なのに。
あなたがそんな言葉を言うのも、そんな熱で見つめるのも私だけでしょ?

「私もよ、グルッペン、あなただけ。今も、これからもずっと。」

サラサラの金髪をかき分けながらグルッペンの頭を引き寄せると、お腹のあたりからグルッペンの温かい手が侵入してくる。
探るような手つきにクスリと笑いを零して、そのまま体を預けた。



後日、コネシマくんたちはグルッペンに散々お説教を食らったらしい。
これに懲りたら少しは大人しくすればいいのに、多分彼らはまた同じ事を繰り返すのだろう。
ぎゃあぎゃあと喚く彼らを見ながら、トントンくんとマンちゃんと呆れて笑いながらお茶を囲む。
いつも楽しくて騒がしい、そんな私の日常。

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ひとちん(プロフ) - NORTHさん» NORTHさんコメントありがとうございます!初めてのギャグがもはや黒歴史になっていたところでそのお言葉…嬉しいです…!よければ短編集2の方もどうぞよろしくお願いします!あそこまでぶっ飛んだギャグはありませんがww (2017年10月29日 19時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
NORTH(プロフ) - 突然ですが初コメ失礼します!ひとらんの回の主人公が面白すぎました…あれですね、貴方様はギャグセンもあるんですね!すごいです!リスペクトです!頑張ってください!(語彙が…無い!) (2017年10月29日 19時) (レス) id: ecb1a421ae (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - ひとちんさん» こちらこそ(*´▽`*)これからもよろしくお願いいたします! (2017年10月8日 16時) (レス) id: cb678ab533 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ヒメ*さん» ヒメ*さんコメントありがとうございます!最近更新サボってますが頑張って更新するので気長にお待ちいただければと思います!感想下さってありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2017年9月10日 18時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - こんにちは!いつも読んでいます!『総統の愛した甘味屋さん』を読ませていただきました!ひとちん様の書く小説は本当に素晴らしいな、と心から思いました!応援しています!これからも頑張って下さい(*^O^*) (2017年9月10日 9時) (レス) id: ab38d97291 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひとちん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年8月6日 4時

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