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お礼企画その4/os ページ31

「暇ぁ。」

縁側で寝転びながら外に出した足をブラブラと揺する。
家族は田舎のおばあちゃんの家に行ってしまったし、友達も旅行だの部活だので構ってくれない。
受験勉強を理由に家に残った私は、することもなく一人暇を持て余していた。

やっぱり私も行けばよかったかなぁ…でも帰ってくるかもだしなぁ…。

私がおばあちゃんの家に付いて行かなった理由。
それは単純に向かいの家に住む彼が帰ってくるかもしれないから。

3つ上の彼は大学進学と共に向いの家を出てしまった。
いつも優しくて、かっこよくて、私をたくさん可愛がってくれる近所のお兄さん。
そんな彼を小さい頃から間近で見てきたものだから、どうにも同級生の男の子に惹かれない。
というか私がずっと好きなのは、今も昔も変わらず彼だけだ。
今年のお正月は忙しいと言って帰って来なかったからもう1年も会ってない…。
寂しいよ、マンちゃん。

「こぉら、女の子がお行儀悪いで。」

聞こえた声に飛び上がる。
門のところにいたのは1年待ち望んだマンちゃんの姿だった。

「マンちゃん!」
「おっと、相変わらず甘えたやなぁ。」

すぐさま縁側と飛び降りてマンちゃんに飛びつく。
しっかりと抱きとめてくれるマンちゃんの優しい腕。
1年ぶりだというのに何も変わってない、私の大好きなマンちゃんだった。

「あぁもう裸足で来てから。」
「だって嬉しくて!」
「しゃーないなぁAは。」

仕方なさそうに笑う顔も1年前と同じ。
あぁもう好き!大好き!

「マンちゃん向こうで彼女できた?」
「残念ながらできてへんよ。Aは?彼氏できたんか?」
「できるわけないじゃん!私はマンちゃん一筋だもん!」

昔から言い続けてきたこと。
私の事なんて近所に住む妹分としてしか見てない事は分かってるけど、言い続けてればいつかマンちゃんがその気になってくれるんじゃないかって、ほんの少し期待を込めて言ってるの。
それにこうやって言えば…。

「可愛いなぁAは。」

とろけるような甘い笑顔で抱きしめてくれるんだよね。
それが嬉しくて、何度だって言い続けるんだ。

「ねぇマンちゃん、いつまでこっちにいるの?」
「そうやなぁ、色々忙しいし明後日には帰るかな。」
「えぇ…そんなに早く帰っちゃうの…。」

てっきり花火大会まで一緒にいれると思ったのに…。
去年みたいに浴衣でお祭りに行ってデート気分を味わいたかった。
あからさまにしゅんとする私にマンちゃんはよしよしと頭を撫でてくれた。

→続→← →続



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ひとちん(プロフ) - NORTHさん» NORTHさんコメントありがとうございます!初めてのギャグがもはや黒歴史になっていたところでそのお言葉…嬉しいです…!よければ短編集2の方もどうぞよろしくお願いします!あそこまでぶっ飛んだギャグはありませんがww (2017年10月29日 19時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
NORTH(プロフ) - 突然ですが初コメ失礼します!ひとらんの回の主人公が面白すぎました…あれですね、貴方様はギャグセンもあるんですね!すごいです!リスペクトです!頑張ってください!(語彙が…無い!) (2017年10月29日 19時) (レス) id: ecb1a421ae (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - ひとちんさん» こちらこそ(*´▽`*)これからもよろしくお願いいたします! (2017年10月8日 16時) (レス) id: cb678ab533 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ヒメ*さん» ヒメ*さんコメントありがとうございます!最近更新サボってますが頑張って更新するので気長にお待ちいただければと思います!感想下さってありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2017年9月10日 18時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - こんにちは!いつも読んでいます!『総統の愛した甘味屋さん』を読ませていただきました!ひとちん様の書く小説は本当に素晴らしいな、と心から思いました!応援しています!これからも頑張って下さい(*^O^*) (2017年9月10日 9時) (レス) id: ab38d97291 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひとちん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年8月6日 4時

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