【wrwrd!】短編集

→続 ページ21

ＨＲ終了後、クラス親睦の予定を決めようとクラスの皆が教室に残る中、鞄を掴んで帰ろうとするグルちゃんを慌てて引き留めた。

「ねぇグルちゃん、グルちゃんも海行こうよ。」
「俺がクソ暑い日にわざわざ外出するわけないやろ、休み中はずっと家でゲーム。」
「だよね〜うん、分かってたんだけどね〜」

困ったな、と背中に感じる鈴木さんたちの期待の眼差しに呟く。
私の様子にグルちゃんは一瞬だけ視線を鈴木さんたちの方に向けた後、溜息を零した。

「はぁ、お前ああいうのは断れって言っただろ。」
「ごめん。」

実はこういった事は今回が初めてではない。
告白だったり用事だったり、グルちゃん関係で女の子たちからお願いされるのは昔からだ。

「でも鈴木さんたちの気持ちも分からなくもないっていうか…。」
「はぁ？」
「だって私もグルちゃんと夏休み遊びたいもん。新学期まで会えないなんて寂しいじゃん。」
「………。そんなん俺ん家来て遊べばええやん。」
「彼氏でもない男の子の家に一人で気軽に遊びに行けるわけないでしょー」

口を突き出してそう言うと、微妙に顔を顰めたグルちゃんはもう一度溜息をつくと私の頭上に手を乗せた。

「今回だけやぞ。」
「え、ほんとに？いいの？」
「ん、後で詳細連絡しとけ。」
「おっけー！ありがとグルちゃん！」

笑ってお礼を言うとグルちゃんは仕方なさそうにフっと笑って帰っていった。
その背中が完全に教室から消えると、私は鈴木さんたちの方に向かって指でオッケーサインを出した。
それを見た彼女たちが手を合わせて喜び合う。

「ありがとうAちゃん！」
「ねぇどうする！？水着買いに行かなきゃ！」
「グルッペンくんどんなのが好きなのかな！やっぱりビキニかな！」
「ヤバイヤバイ！私海行くまで絶食する！痩せなきゃ！」

盛り上がる彼女たちを見るといい仕事したなと思う、ご飯はちゃんと食べた方がいいとは思うけど。


夜、グルちゃんに放課後決まった集合場所と時間をメールにして送る。
”了解”の一言だけの返信から察するに早速夏休みを満喫してゲームでもしてるのだろう。
やっぱりただの高校生、内心は浮かれてるのかもしれないと思うと顔がついニヤけてしまう。
スマホをベットに放り投げて寝転ぶ。

海、楽しみだな。

→続→←お礼企画その１／gr

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す