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にこりと人の良さそうな笑みをするロボロさん、でもなんだかちょっと怖い感じがするのはなんでだろう…。
「Aさん、グルッペンに会いたい?」
ロボロさんの口から出た言葉に固まる。
そんなの…決まってるじゃないか。
この6年、ずっとそれだけを思っていた。
アスタムで過ごした4年間も、もう一度グルッペンに会うために我慢してきたのだ。
「会いたいです。」
真っすぐにロボロさんと視線を合わせて告げる。
すると彼の表情はより笑みを濃くした。
「あはは!だよね!だったら予定変更!」
「どういう事ですか?」
「僕さ、Aさんを安全な所に保護するようにトントンに言われてたんやけどね、でもそれってグルッペンのいる所じゃないんよね!」
「違うんですか?」
「だってグルッペンのいる所ってワズルだよ?アスタムが攻めてくるかもしれないのに安全なわけないやん。」
確かに。
なんなら今アスタムの次に危険な場所はワズルかもしれない。
「だからワズルにいたら死んじゃうかもしれないんよね。でもAさんだって折角助かったんやから生きてるグルッペンに会いたいやろ?」
笑いながらそう言うロボロさんを見た瞬間、グルッペンの言ってた事を思い出した。
『背の低い奴、でも…笑いながら怖い事言う恐ろしい奴。』
納得した。
グルッペンの説明は実に的確だった。
ロボロさん怖いよ!
生きてるグルッペンに会いたいやろ?って…普通言うかな!?6年も離れた人に!
「そうですね…。できたら生きて会いたいですね…。」
「だよね〜!んじゃ行き先はワズルに変更で〜!」
のほほんと馬車の運転手に変更先を告げるロボロさんに、私は笑顔が引き攣るのが止められなかった。
「着いたよ。」
ロボロさんの手を借りて馬車を降りる。
視界に広がる立派なお城は4年前に雑誌で見たワズルのお城そのままだった。
ここに、グルッペンがいる…。
ずっとここに来る事を夢見てた。
私の震えて動かない足を見て、ロボロさんは眉を下げて笑った。
「行こう、グルッペンのところに案内するよ。」
「はい…。」
一歩、一歩、進むごとに心臓がどくどくと音を立てる。
グルッペンはどんな風に成長してるだろう。
会ったら何を話そう。
ずっと想像してきた事なのに、今から会えるという事実に全部どこかへ飛んでいってしまった。
「ここだよ。」
立ち止まったロボロさんの前にある、分厚い扉。
この先に、グルッペンがいる…。
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なな - うん。 いや最推しにこんなんされたらもう本当ヤバいなぁ…((語彙力ッ いやグルちゃんかっこええ~… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - グルさんイケメン…最推しです(*´ー`*) (2017年9月10日 9時) (レス) id: ab38d97291 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 75さん» 75さんコメントありがとうございます!楽しんで貰えたなら幸いです!!続編も次回作も早くお届けできますよう頑張ります!これからもよろしくお願いします!! (2017年8月22日 12時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
75(プロフ) - ひとちん様初めまして。いつも楽しみに読ませて頂いております。この度は完結おめでとうございます!秀逸な作品構成にどきどきしながらページを送っておりました。続編、次回作共に首を長くしてお待ちしてます!体調にはお気をつけてお過ごしくださいませ。 (2017年8月22日 12時) (レス) id: 97ace52c10 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 水鈴さん» 水鈴さんコメントありがとうございます!感想とても嬉しいです!!2では二人のその後などを書かせて頂く予定ですので完成したらぜひそちらもご覧になってくれると嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2017年8月21日 22時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
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