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金色のドアノブをロボロさんが握る。
ノックも無しにゆっくりと開かれる扉。
その先に見えるのは、豪華な広い部屋と立派な椅子に座る
ずっと会いたかった、あなた。
昔より少し伸びた蜂蜜のような綺麗な金色の髪。
大人っぽくなった顔なのに一つも変わらない赤い瞳。
もっとあなたを見たいのに、視界がボヤけてよく見えない。
あなたの温もりを感じたいのに、震えて足が動かない。
あなたの名前を呼びたいのに、苦しくて声が、出ない。
「A…。」
声を聞いた瞬間、もう立ってなんかいられなかった。
床に膝をついて泣き叫んだ。
ボロボロの私を、グルッペンの力強い腕が抱き締める。
懐かしいグルッペンの腕の中、グルッペンの匂い。
「会いたかった…。」
「わたし、も…!」
頬を両手で包まれ上を向く。
グルッペンの眉は苦しそうに寄り、綺麗な赤い瞳からは、涙が零れていた。
「名前、呼んでくれ。」
「グル、ッペン…。」
「もっとだ。」
「グルッペン…グルッペン!グルッペ―――」
熱い感触もあの頃のまま。
息をする時間さえ惜しむように、グルッペンの存在を確かめるように。
久しぶりに味わうグルッペンのキスは、想いが通じ合ったあの日と同じ、涙の味がした。
どのくらいの時間そうしてただろう。
床に座り込んだまま抱き合って、キスをして、また抱き合って。
段々と落ち着きを取り戻してくると、今度はすごく恥ずかしくなってくる。
いつの間にかロボロさんいないし…。
どこまで見られてたんだろう…。
「すまなかった。」
「え?」
グルッペンの言葉に顔を上げると、少し目元を下げた表情をしていた。
泣いたせいかいつもより濃い赤色を見つめる。
「何を、謝るの?」
「お前との約束も果たせず、お前を危険な目に合わせた。」
「それを言うなら私も。約束、守れなかった。」
「A…。」
「でも、もういいの。こうして会えたから。」
「そうだな。」
「でも今度は別の約束をしようよ。」
「別の約束?」
今にして思えばあんな約束したのが間違いだったんだ、私たちが離れる事を前提にした約束なんて。
私たちはもうお互いがいなくては生きていけない。
今度は絶対に守れるものにしよう。
「もう二度と離れないで。置いていかないで。」
グルッペンの顔を覗きこんでそう言うと、グルッペンは自信満々に笑った。
私の一番大好きな、あなたの顔。
「その約束なら絶対守れるわ。」
今度こそ永遠の約束。
誓いのキスはお菓子のように甘い味がした。
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なな - うん。 いや最推しにこんなんされたらもう本当ヤバいなぁ…((語彙力ッ いやグルちゃんかっこええ~… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - グルさんイケメン…最推しです(*´ー`*) (2017年9月10日 9時) (レス) id: ab38d97291 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 75さん» 75さんコメントありがとうございます!楽しんで貰えたなら幸いです!!続編も次回作も早くお届けできますよう頑張ります!これからもよろしくお願いします!! (2017年8月22日 12時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
75(プロフ) - ひとちん様初めまして。いつも楽しみに読ませて頂いております。この度は完結おめでとうございます!秀逸な作品構成にどきどきしながらページを送っておりました。続編、次回作共に首を長くしてお待ちしてます!体調にはお気をつけてお過ごしくださいませ。 (2017年8月22日 12時) (レス) id: 97ace52c10 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 水鈴さん» 水鈴さんコメントありがとうございます!感想とても嬉しいです!!2では二人のその後などを書かせて頂く予定ですので完成したらぜひそちらもご覧になってくれると嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2017年8月21日 22時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
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