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午後3時を少し過ぎた時間。
ちょっと早めの3時のおやつを食べたグルッペンはいつものロッキングチェアに座ってお昼寝をしていた。
こうやって見ると、本当に王子様みたい。
起きてる時は魔王様って感じだけど。
いつもの朝の狸寝入りとは違い本気で熟睡しているグルッペンを見るとなんだか悪戯心が沸いてくる。
誘惑に勝てず、足音を立てないように近づいてみる。
肌がキレイすぎる…。毛穴なくない?
起こさないようにそっと触れたグルッペンのほっぺたはしっとりと滑らかで少し硬い。
そのままおでこにかかる髪をはらうと滑らかな金髪が指をすり抜ける。
セットしてる時もいいけど、下ろしてる時の方が可愛くて好きだな。
顔の横に垂れた髪を耳へかけると少し尖った耳が出てくる。
やっぱ魔王様だからちょっと尖ってるのかな、思わずふふっ、と声を出してしまった。
すぐにグルッペンの顔を見ても起きた様子はなかった、危ない危ない。
今度はグルッペンの唇に目がいく。
この前触れた時に柔らかくてビックリしたなと、あの感触を思い出したらなんだか無性に触れてみたくなる。
さすがに、起きちゃうかな。
多少の躊躇はあるものの、今日の私は止まらない。
まるで魔法がかかったかのようにグルッペンの唇に吸い込まれる。
人差し指をグルッペンの下唇に押し当てるとふにっとした感触に埋もれる。
キスしたら気持ちいいのかな…。
思わずよぎった想像にはっと意識を取り戻す。
怖い!私ほんとうに変態みたいだった!
恐ろしい男だ、こうやって彼に魅了された女がきっと何人もいるはずだ、うん、私は変態じゃない、グルッペンが悪い。
自分に言い訳をしながらグルッペンの寝顔を見つめる。
あぁ、好きだなぁ、じわりと胸の奥が苦しくなる。
そう、全部グルッペンが悪いんだ。
こんなに好きになってしまった。
いつかいなくなると分かっているのに、もうグルッペンがいない生活なんて想像できない。
ここにずっと居てなんて言えない、彼の夢を知ってしまったから。
連れて行ってなんて言えない、彼の足手まといにしかならないって分かっているから。
でも待っているのはいいかな、いつかあなたが迎えに来てくれるのを、いつか仲間に紹介してくれると言ったあの軽い口約束を信じて。それだけで生きていけるから…。
ずっと一緒にいれない女をこんなにも夢中にさせるなんて
「本当に、ひどい男だね。」
「ひどいのはお前だ、寝ている奴に散々悪戯しやがって。」
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なな - うん。 いや最推しにこんなんされたらもう本当ヤバいなぁ…((語彙力ッ いやグルちゃんかっこええ~… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - グルさんイケメン…最推しです(*´ー`*) (2017年9月10日 9時) (レス) id: ab38d97291 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 75さん» 75さんコメントありがとうございます!楽しんで貰えたなら幸いです!!続編も次回作も早くお届けできますよう頑張ります!これからもよろしくお願いします!! (2017年8月22日 12時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
75(プロフ) - ひとちん様初めまして。いつも楽しみに読ませて頂いております。この度は完結おめでとうございます!秀逸な作品構成にどきどきしながらページを送っておりました。続編、次回作共に首を長くしてお待ちしてます!体調にはお気をつけてお過ごしくださいませ。 (2017年8月22日 12時) (レス) id: 97ace52c10 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 水鈴さん» 水鈴さんコメントありがとうございます!感想とても嬉しいです!!2では二人のその後などを書かせて頂く予定ですので完成したらぜひそちらもご覧になってくれると嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2017年8月21日 22時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
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