【ぬらりひょんの孫】糸繰草 弐【初代】

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「親父絶対喜ぶな」

「踊り出す勢いで喜びそうじゃの」



でもそうか
私はこれからぬらりひょんと共に妖怪として長い長い時を今度は生きられるかもしれないのか



「……ッ……」

「おふくろ？」

「…………悪い、今見ないでくれ」

「奥方、顔赤いのう」

「見るな」



長い時を今度は共に生きられる
そう思うだけでこんなにも、嬉しく思ってしまうなんて
それでも嬉しい気持ちが隠せなくて



「……………私も大概だな」

「「？」」



ぬらりひょんばかり私を好いていたような空気がいつもあったけれど私も、本当に心底アイツに惚れているらしい
生まれ変わっても尚、あいつを想っているのは私も同じ



ああ、もう……



「…鯉伴、狒々」

「なんだ、おふくろ」

「どうしたんじゃ？」

「…会おう」

「「！」」



私は、まだ少し火照る顔など気にせずフワリと微笑む



「ぬらりひょんに、会いたい」



その時の笑顔はどんな美しい景色でもどんな夜景でも、適うわけがないほど妖艶で、何よりも美しかった
息子である鯉伴でさえも見惚れてしまうほどに



「おふくろ…」

「あいつに会うのは、まだ少し怖いが…
それでもあいつに会いたいという気持ちがただ膨れるばかりでな」



もう我慢ならん
そう言って笑えば、二人も笑った



「ああ、会いに行こう」

「わしも立ち合いたい所じゃが多分そうもいかん。
鯉の坊、頼んだぞ」

「ああ」



こんなにも簡単な話だったのに、私は一体何を渋っていたのだろうか
会うと決めてしまえば心が軽くなった



「親父には何とか約束俺が取り付けるから、おふくろはただ待っててくれよな。
予定とかはまた伝えに来るから」

「…世話をかけるな、鯉伴」

「俺が好きでやってんだよ。
それに、おふくろたちが笑いあってんのが見たいってのは俺の願いでもあるし自分の為でもあんのさ」



だから礼はいらねーな。と笑う息子が、愛おしかった



「よし、ならば今日は可愛い息子と友人の為になにか美味い飯でもご馳走してやろう」

「お、マジで」

「奥方今世では料理上手いらしいのう？楽しみじゃ」

「腕によりをかけて作ってやるぞ」



そうして私はキッチンへと向かうのであった









(ﾓｸﾞﾓｸﾞ…黒豆もそうだったけど美味いわやっぱ)

(ﾓｸﾞﾓｸﾞ…美味いのう)

(昔は雪麗に止められておったからな)

(奥方なら割と壊滅的な料理も作りかねないと思っとった)

(もう食うな)

(腹いっぱい食うの一択じゃ)

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