頭突き ページ7
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私は特に問題もなく、すくすくと育つ
一応父がとある会社の社長ではあるものの、普通にどこにでもあるような家庭で育つ事が出来た
とは言ってみたが、本当のことをいえば私は"普通"の少女ではない
何も問題もなく育った元気いっぱいのちょっと人間離れしたスーパー少女である
その理由として挙げられるのは前前世と前世の記憶持ちであることと、大変突然のカミングアウトだが私は妖怪のクウォーターでもあるからだ
何の妖怪かと言われればヤマタノオロチといえば分かるだろうか
邪神とも言える蛇の妖怪だ
それが一応祖父にあたる
ヤマタノオロチは単なる気まぐれで何千年も前に人に子を孕ませ、子を産ませた
それが私の母だ
母は祖父の血を強く受け継いだものの気性は非常に穏やかで(怒った時はとんでもない)優しい母だ
そんな母は人間の父に恋をし、子を儲けた
それが私
私はそんな母の血を強く継いだのか、蛇と会話することが出来たり、全ての蛇に言う事を聞かせたり、妖術なども難なく使えることが判明した
妖怪化しても外見に大して大きな変化はないが強いて言うならば手や足に少しだけ蛇の鱗が出るくらいだろう
前前世のこともあり、蛇になにか縁があるのは少し嬉しくなったのは秘密だ
「母上」
「ん?どうしたのじゃ、A」
「少し散歩してきます」
「一人でか?」
「はい」
これでももう小学低学年だ
ましてや、精神年齢は前前世も含めれば結構な年齢になる
自分のことは自分でやりたいし、一人の時間もやはり大切なのだ
「あまり遠くには行くでないぞ?」
「はい。行くのはそこらの公園くらいですから」
「そうか。ならば良いのじゃ」
母上は私の頭を撫でると行ってらっしゃいと声をかけ、わたしもそれに対し行ってきますと返した
マンションから出て、私は1人スタスタと歩き出す
さて、どこへ行こうか
「…………随分と、風情のない場所になってしまったな」
ズラリと並ぶ高層ビル
目の前を連なるように流れていく多くの車
昔のような人情味溢れる町は消え、誰もが我関せずと言ったようにただ街を歩く
草木も無くなりコンクリートへと姿を変えた
「寂しいものだ」
あいつと共に訪れた桜の名所もいくつかなくなり、デートしたいと騒いだあいつに連れ回された場所も消えてしまった
そう思うと、どこか胸がズキリと痛んだ
「…………私も、なかなかに未練がましいな」
今世では関わらないと決めているのに
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mikitty(プロフ) - 更新されていて、とても嬉しくてニヤニヤしちゃいました… (2020年3月16日 15時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - とても面白く続きが気になるので更新頑張ってください! (2020年3月16日 10時) (レス) id: 8c7b14ea8f (このIDを非表示/違反報告)
透騎(プロフ) - ワクワクドキドキしすぎて更新が待ち遠しいです!今回も面白かったです! (2020年3月16日 7時) (レス) id: 77908472ca (このIDを非表示/違反報告)
あかがみ(プロフ) - 早速読みました!続きが気になっていたので更新してくれて嬉しいです!次回も頑張ってください! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 55e841535d (このIDを非表示/違反報告)
アニメ大好きwoman - とっっても面白いので早く続きが読みたいです!更新頑張って下さい! (2020年3月14日 3時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:江 | 作成日時:2020年1月11日 19時