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「…………」

「何の用だ」

「…………なぁ、あんた」

「お前がずっと私のことを嗅ぎ回っていたことは知っている」



そう、助けたあの日から鯉伴は私のことを調べ回っていた
だがまぁ、大したことは知れなかったろう
せいぜいあの母上と人間の間に生まれたリクオと同じクォーターであるくらいか



「私に何が聞きたい」

「………じゃあ、単刀直入で言う」

「ああ」

「あんた、おふくろ…なのか?」

「………………」



どこか泣きそうな声とその顔



「………………それを聞いて、お前は何がしたい」

「ただ知りてぇんだ。あんたかおふくろなのかどうか。
そしたら説明がつく。
あん時助けてくれたのがあんたで、助けてくれた理由も、その容姿も」



鯉伴のあの時の記憶はあやふやなものだったがとてもリアルだった
知っている母よりもあの時の母は幼く、華奢で、声が子供のものだった
そう鯉伴は言う



「……………」

「なぁ、答えてくれ。あんたは、おふくろなのか?」

「…………」



素直に、そうだと言えないのは、なぜなのだろう



「私の名は、桜夜A」



素直には言えないけれど私は



「前世は、ぬらりひょんの妻であり…そなたの母であったものだ」



私の声は、思っていよりも小さな声だった



「…やっぱり、おふくろなのか…」



鯉伴は、ゆっくりと私の方へ歩き出しその手を伸ばしてきた
私はそれに何も反応せずただ立ちつくす



「おかえり、おふくろ」



ふわりと抱きしめてきた鯉伴
その香りは、昔と何も変わらなかった



トクントクンと心臓の動く音が聞こえる
鯉伴の存在を、しっかりと感じた
あの日の消えてしまいそうな鯉伴ではない



「………やめてくれ、鯉伴………」

「息子からの抱擁がそんなに嫌かよ」

「違う」



違う、逆なのだ



鯉伴は私をゆっくりと離す



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mikitty(プロフ) - 更新されていて、とても嬉しくてニヤニヤしちゃいました… (2020年3月16日 15時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - とても面白く続きが気になるので更新頑張ってください! (2020年3月16日 10時) (レス) id: 8c7b14ea8f (このIDを非表示/違反報告)
透騎(プロフ) - ワクワクドキドキしすぎて更新が待ち遠しいです!今回も面白かったです! (2020年3月16日 7時) (レス) id: 77908472ca (このIDを非表示/違反報告)
あかがみ(プロフ) - 早速読みました!続きが気になっていたので更新してくれて嬉しいです!次回も頑張ってください! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 55e841535d (このIDを非表示/違反報告)
アニメ大好きwoman - とっっても面白いので早く続きが読みたいです!更新頑張って下さい! (2020年3月14日 3時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月11日 19時

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