11*.昔話 ページ13
貴「...ちょっと、昔の話をするね。全部は今言えないけど...」
トーカさんは、静かに私の次の言葉を待った。
貴「...私の両親は、喰種に殺されたの」
トーカさんの目が少し見開いた。
貴「酷い話だよね。私がまだ5歳の時だよ?私まで同じ目に遭わされそうになって、必死で逃げた。頭から2人の姿がチラついて、離れなくて。“誰か助けて″って叫んでも、どうせ子供の構いたがりだって言って誰も聞いてくれなかった。すぐ近くで、人が死んでるのに。CCGだけが救いだと思って、すぐ駆け付けてくれるだろうって、考えてた。でも、彼らが来た頃には...」
地面には赤い絨毯が出来ていた。その上で両親の首と手だけが寄り添うようにして置かれていた。
貴「泣いて、泣いて、泣きじゃくった。何でもっと早く来なかったの、そしたら2人は助かったのに、なんて言葉をぶつけた。職員の人達は謝ってくれた。けど、そんなんじゃ満たされなかった。だから私はCCGが嫌いになって、あそこの孤児になんてなりたくなかったんだ」
今は、そんな事もないんだけど。
皆、一生懸命だから。
貴「でも、私は喰種だけが悪いとは思わない。人だって、命を奪ってる...喰種にも、感情はある。案外変わらないんだって、思えたの。喰種にも生きる意味はある、皆のお陰で、そう思えた」
ト「...あっそ」
呆れたのか、トーカさんは店を出ていこうとした。
貴「長々とごめんなさい。トーカさん、歳も近いから親近感湧いちゃって...。ありがとうございました」
私はペコリと頭を下げた。
ト「...でいい」
貴「へ?」
唐突の言葉に顔を上げる。
ト「トーカ、でいい。それと、敬語使わなくていいから」
それだけ言って、出ていってしまった。
貴「〜〜〜〜っ!ありがとう、トーカ!」
出ていく時の、彼女の耳が赤かったような気がした。
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翡翠@睡眠眠蝉(プロフ) - 輪廻(女)@改名する@誤字リストさん» ありがとうございます!そして初コメおめでとうございます笑そう言って頂けるととても嬉しいです。日々頑張りますのでこれからもどうぞよろしくお願いします! (2016年9月13日 17時) (レス) id: b1470eb577 (このIDを非表示/違反報告)
輪廻(女)@改名する@誤字リスト(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます!面白いです! (2016年9月12日 20時) (レス) id: 859d0a4629 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠@睡眠不足 | 作成日時:2016年4月2日 10時