そしてカイトはヤンデレに挑戦しようとする(ヤンデレ要素ほぼ0) 5 ページ45
「だから、おめでとう。このクロゼットは、カイト、お前に。わかりやすい色だろ? 結構頑張って塗ったんだ」
照れ隠しなのか何なのか、マスターはそっぽを向きながら言う。
「小屋じゃ、ないんですか?」
「は!? ……いや、あれは冗談だよ。クロゼットだと言っちゃったら面白くないじゃないか」
笑えない冗談、言わないでくださいよ。とはいえ、さっきまでの僕の不安は杞憂だったらしい。にしても、どうしてクロゼット? それに、マスターはこの寒いのになぜこんなに薄着なんだ?
「マスター、そんな格好じゃ風邪ひきます。僕の上着羽織ってください。とりあえずこのクロゼット、本来置く場所に運びましょう?」
「あーっ! くそっ! めーちゃんのアホ! 何の効果もないじゃないか! ……とりあえず上着は借りるから」
なぜ今めーちゃんなのかはよくわからないが、マスターは僕の上着を羽織って、例のクロゼットに手をかける。
「カイト、そっち側持って。大丈夫? 指挟まないようにね」
「はい」
誕生日に家具の移動なんて、なかなかカオスな気がするが、そこはツッコんではいけないのだろう。
「ちゃんと固定しないと地震の時危ないから、固定するけどいいよね」
「はい、お願いします」
電動ドライバーを片手に、マスターはクロゼットを固定する。僕のマフラーを身に着け、僕の上着を羽織っている。僕の後ろ姿ってこんな感じなのかな? いや。上着の裾からのぞくきれいな脚は、紛れもなくマスターのそれだ。
……別に、クロゼットでも良いんだけど。
でも、もし叶うなら……プレゼントはマスターでっていうのは、ダメ、ですよね。
作業を終えたマスターは振り返り僕を見た。
「何着もあるその上着、いちいち畳んだりしまったりは大変だろう?」
ご存知だったのですね。
「クロゼットに入れときゃ、多少ニオイはつきにくいから。別にうちで焼き肉やる度に毎回クリーニング出すこともないだろ?」
どこまで知ってるんですか!?
「何のもじりか知らないけど、お前の『マスターこれくしょん』とかいうやつ、保存したきゃクロゼット下段の引き出しにでも入れとけ」
「ああああああっ! マスターごめんなさい!!」
まさかそこまで知られているとは!! 僕の秘蔵の……
「別に、お前ならやると思った」
マスターはエスパーですか!?
本当に、この人にはかなわない。
そしてカイトはヤンデレに挑戦しようとする(ヤンデレ要素ほぼ0) 6→←そしてカイトはヤンデレに挑戦しようとする(ヤンデレ要素ほぼ0) 4
49人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あかり - 糸魚川翡翠@京都より帰還さん» 翡翠ちゃんは帯人が好きなんですよね? (2016年2月29日 19時) (レス) id: b06cf0ef99 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» ただいま! そうね、短編集の方ではあまり亜種は書かないからな。 (2016年2月29日 10時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 翡翠さん!おかえりなさい!やっぱりヤンデレカイトでしたか! (2016年2月28日 20時) (レス) id: b06cf0ef99 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» YESヤンデレカイト!! ラストの一言ってところがお気に入りです。 (2016年2月28日 11時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» 書いてる私のテンションも高かったりしますw (2016年2月28日 11時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:糸魚川翡翠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisui0327/
作成日時:2015年10月11日 10時