第79夜 ガラス玉のような ページ21
コムイ 「ってなわけで、増援としてアレンくんとリナリーの元に向かってね。」
神田 「はあ?」
朝早くにリーバーに呼び出され、司令室に向かったはいいものの、いつもは適切な指令を
自分たちに出す目の前の人物から神田に告げられた任務内容は、その一言だけだった。
詳しく言えという暇もなく、コムイはう〜んとけだるそうな声を上げながら机に
顔をうつ伏せてしまう。
神田 「おいコムイ、起きろ!」
1歩前に出てそう怒鳴るが、何の反応も示さない。
ここまでやる気がないコムイを見るのは初めてで、神田はその態度に驚きつつも、このまま
というわけにもいかず、ため息をついた。
・・・科学班の奴らなら、任務内容、もしくは資料を持っているかもしれないな。
どうするか頭を悩ませていると、ふとそんな考えが浮かび、神田はくるりと体の
向きを変える。
そして、司令室のドアノブに手をかけようとした瞬間に、ドアが外側に向かって開いた。
リーバーか?と一瞬考えたが、前に立っている人物の顔が見えるなり、神田はその相手を
睨みつける。
対して敵意を向けられている少女は、特にそれを気にする様子もなくすっと神田の
横を通り抜けてコムイの方へ近寄った。
神田 「おい!」
自分の存在を無視したかのようなその動作に、神田はさらに苛立って振り返りながら
声を上げる。
しかし少女は返事もせず、相変わらずピクリとも動かないコムイの側に近寄り、その肩を
何度か軽く叩いた。
A 「コムイさん、リーバーさんから資料をもらってきました。」
コムイ 「ん〜・・・じゃぁ、それ、神田くんにも渡しといてー・・。」
顔を机にべったりと付けたまま言ったコムイの言葉に、Aは軽くうなずいて神田の方に
向き直った。
どうやら、今回の任務についての資料を持ってくるよう、自分が来る前に頼んでいたらしい。
・・・だったら最初からそれを言えよ。
六幻を抜刀しかねない内心でいる神田の前に、ホッチキスで止められた紙の束が
差し出された。
A 「時間が惜しいので、現場に向かう道中で読むようにと。それでは行きましょう。」
神田 「は?おい、ちょっと待て。」
今の言い方だと、Aもこの任務に同伴することになる。
それを確認するために、さっさと司令室を出ていこうとしたAを神田は呼びとめた。
だが、振り返ったAの目を見て、言葉を飲み込む。
__何の光も宿していない、ガラス玉のような瞳の中に、自分の顔が映り込んでいた。
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姫いちご - はじめまして姫いちごです。初コメ失礼します。とてもいい作品でした。私はディーグレイマンの中で一番神田が好きです。続きを楽しみにしています。(*^-^*コメ、長くてすみません。ありがとうございました!! (2016年4月17日 19時) (レス) id: c97e5601f8 (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - 初コメ失礼します。一気読みさせていただきました!!この作品に出会ってさらにdグレが好きになりました!!いつまでも待ってます^o^ (2016年4月12日 17時) (レス) id: 393c27509e (このIDを非表示/違反報告)
めぐ♪(プロフ) - 最初から読ませていただきました!!更新頑張ってください!!楽しみにしています!(^^♪ (2016年3月7日 6時) (レス) id: a48000af0d (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - お久しぶりです(^^)Dグレアニメ再開しますね!無理せず更新頑張って下さい^o^ (2015年12月26日 20時) (レス) id: 3e6b0e0f53 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - 更新お待ちしてます。私も受験生 (2015年12月23日 16時) (レス) id: e4de09b28a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:莱羅 | 作成日時:2012年6月21日 20時