検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:2,238 hit

2話 ページ3

あぁ、思っていた通りだ
この人は

栄さんは、侘助のことをとても大切にしている

彼は厄介払いされていると言っていたけど、きっと本心ではないのだろう
だって、こんなにも暖かい目を向けられてそう思うはずがないんだから

「エリンさんは、これから用事でもあるのかい?」
「いえ、こちらに来る前に用事は済ませましたので、あとは少し観光をして帰ろうかな、と」
「そうかい」

栄さんは、なら!と目を輝かせて言う

「うちに泊まっていかないかい?」

――――――

「エリンさん、ここに着替えとタオル置いておきますね」
「すみません、ありがとうございます!」

髪についた泡を洗い流し長い髪をまとめる
久しぶりだなぁ、お風呂に浸かるの......

「はふぅ......なんだろう、日本のお風呂凄く落ち着く...」

これなら、何時間でも入ってられるかもしれない
最近は研究所に引き篭もりっぱなしだったし、お風呂入ってもシャワーだけだったし...
これは、役得だなぁ

流石に何時間も、は迷惑だろうから5分ほど湯船に浸かって上がる
着替えてから長い廊下を歩いていると角から栄さんが出てくる

「エリンさん、少し話をしないかい?」

――――――

「すまないね、あの子のことが聞きたくなって」
「いえ。何から話しましょうか...」

話というのはやはり侘助のことだった
約9年も帰っていないのだから当然だろう
何から話そうか......侘助がこの前鳩に糞を落とされたこと、お湯を入れたカップラーメンを2時間程放置して膨張した麺を食べて噴き出したこと...話すことはつきなさそうだ
あれこれを思い出して笑ってしまう
すると、栄さんと目が合う

「エリンさんは、息子のことを大事に思ってくれてるんだね」
「えっ?......あー、そう、ですね」
「元々私が彼の頭脳に目をつけて前の研究所から......引っこ抜いてきたので...」

あ、目をつけて、はダメだっただろうか
いや、でも他になんと言えばいいのか......こういう時にもっと日本語を習っておくべきだったと後悔する
ウンウンと悩んでいる私を見て栄さんは、ははは、と笑う
驚いて栄さんを見ると私を優しい目で見ていた

3話→←1話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おふとぅん信者 | 作成日時:2020年3月13日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。