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「2組の生徒がな。財布を取られたと言ってきてるんだ。」
担任がそう言ってようやく私は自分が置かれている状況を理解した。
私はどうも財布を取った犯人として疑われているようだった。
気付いた瞬間、焦りと戸惑いが湧き上がって来る。
私には身に覚えがなかったからだ。
『誤解ですっ!私、取ったりなんかしてないです!!』
私は立ち上がって、乗り出す勢いで訴えた。
「でも、上原が取っているところを見たという生徒もいる。」
『そんなっ!本当に私じゃないです!』
私は必死に訴える。
「じゃぁなんで、お前の鞄から取られた財布が出てくるんだっ!!?」
担任が怒鳴りつけるようにそう言った。
大きな声に私はビクッと体を揺らして、息を呑む。
人生の中で、人から怒鳴りつけられる経験はあまりなかった。
怖い。
そんな思考が頭を巡った。
『私…本当に知らない…』
それでも私は首を振った。
「まだ言い訳するの…?上原さん。
見たという証言も、証拠もある。
この状況で、言い逃れできると本当に思う?」
そう言ったのは、主任の女の先生だった。
やっぱり綺麗だけど物腰がすごくきつい。
『でもっ』
「はぁ…
お前は、成績もいいし、真面目だし、クラスメイトからの信頼もある。
まさか、こんな事する生徒だとは思っていなかったよ…」
担任が落胆したような声を上げた。
なんで…?
最後の頼みで監督に視線を投げるが、目は逸らされたまま合わなかった。
もうここには私の言い分を聞いてくれる人はいない。
それだけは嫌でも、分かった。
『…』
どうすればいい?
何が悪かった?
いくら考えても分からない。
別に何もしてないのに。
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にゃんたろう(プロフ) - 更新まってます、、! (2月22日 12時) (レス) @page44 id: b90ce20b9b (このIDを非表示/違反報告)
natsumican(プロフ) - 更新待っています! (2022年10月23日 1時) (レス) @page44 id: c767698059 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 続き待ってます! (2022年9月25日 16時) (レス) id: eb8cebab9c (このIDを非表示/違反報告)
はるる - 続き待ってます (2022年8月11日 7時) (レス) @page44 id: b2f736a6cd (このIDを非表示/違反報告)
明 - 続きお恵みください (2022年7月31日 23時) (レス) id: b3d00b40ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:hiro | 作成日時:2020年9月28日 8時