泡沫の夢【her view】6 ページ6
はぁ、やっぱり気付いてなかったかと大きなため息をつくリンの言葉はあまりにも荒唐無稽すぎて頭にすんなり入ってこない。
そんな私の鼻に、ピッと細い人差し指を当て、リンは続ける。
「だーかーらーぁ。二人とも恋愛ごとにニッブイせいで全く気がついてなかったかもしれないけど！ずーっとお互いに惹かれてたのよ！」
「鈍っ？！……いやいや！カカシは常に彼女もいたよ！？」
「えぇ？違う違う！あんなの彼女じゃないわよ！」
「えぇ……そうなの？」
「そうよ！大体カカシはAしか見てないから周りの好意なんて気づいてないし、Aが全然自分に興味もってくれないからって節操なさすぎるのよ！あれは最低だわ！」
と何故か怒り出すリンは、私よりも幼い容姿をしているのに、年上のお姉さんのように思えた。
イマイチまだリンの言ってる内容が理解できず、パチパチと瞬きを繰り返していると、それに気づいたリンがコホンと咳ばらいをする。
「あーまぁ……正直、私が嫉妬から二人の気持ちを気付いてても言わなかったせいで、二人して拗らせちゃったっていう所も、無きにしも非ずなのよね……だから、ね？A。カカシと幸せになってくれなきゃ、許さないんだから！分かった？！」
鼻に突きつけられたままの人差し指がグイグイと鼻を押してきて、同時ににっこり笑うリンの眩しい笑顔に私はあまり理解しないまま、勢いに押されて素直に頷くことしか出来なかった。
「よろしいっ！いい？私はこれからもずっと、Aの味方だよ。もう二度と会えなくても……それでも……それでもずっと見守ってるから、それだけは忘れないで。」
淡い光を放ち始めたリンに、別れが近い事を悟った私は、その身体を再び思いきり抱き締める。
リンの手も私の背にしっかり回される。
「リンっ！！まだ、行かないでっ！！」
「オビトとカカシのこと、よろしくね。」
「嫌だっ！！嫌だリン！！一緒にっ……！」
”ここに居よう”と言おうとして、ぐっと堪えたのは、約束をしたから―
オビトのやろうとしている事を止めるって……
そんな私の思考を読んだリンは私から数歩離れて切なげに微笑んだ。
「ありがとう、A。大好き。」
「私も、ずっと……大好きだよリン。」
ポロポロと零れる涙で視界が歪む―
そして歪んだ視界の先で、ふわりと空気と共にリンが消えて再び暗闇が訪れる。
「さて……どうするかな。」
暗闇で呟いた私の声だけがそこに響いた。
続く
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テン(プロフ) - えごさん» えごさんはじめまして＾＾とてもうれしいコメントありがとうございます。亀更新で申し訳ないのですが、頑張って書き上げますので気長にお付き合いくださいm(__)m (12月8日 23時) (
レス) id: 3d6ac160d7 (このIDを非表示/違反報告)
えご(プロフ) - 夢主の設定もふたりの関係もとても素敵です！更新楽しみに待っています！ (11月15日 9時) (レス) @page2 id: 1e37af87f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：テン | 作成日時：2023年7月7日 0時
