3114.【4】 ページ14
［先輩side］
麻酔を終えて一息おいてから…
「翔くんの方、向いててねー…」
智「…」
翔「大丈夫、すぐ済むからね…」
不安そうな表情の智くん。
すぐに翔くんが優しくフォローしてくれたから
俺は処置に専念しよう。
そう思った矢先…
智「…っ、まって！」
「あぁ…笑」
翔「…もう！」
痛みもあるから、ほんの少ししか動かせなかったけど
腰をずらして動いてしまって…
翔「…ちょっと！危ないでしょ？」
智「だって…やっぱ、やだ…」
掴まれていなかった方の手が出てきて、翔くんの
手を掴んで「やだ…」って首を振ってる。
何度か翔くんが説得しようと声を掛けてくれたし、
俺も声を掛けてみたけど、首振りは止まらず。笑
ついに翔くんが叱るって展開に…
翔「往生際悪過ぎなんだけど…」
智「…だって」
翔「だってじゃないでしょ。さっきまで散々嫌だって
言ってて、待ってもらったんでしょ？」
智「…でも」
翔「やらなきゃいけないものは、やらなきゃ
いけないの」
智「…」
翔「分かった？」
智「…」
翔「動くとほんとに危ないから」
智「…」
なにも応えず、目を瞑ってしまった智くん。
いじけたかな…笑
翔くんは掴まれていた手を離させて「そろそろ
いい加減にしてね…」って。
怖っ…笑
いつもの2人からは感じない、なんかピリピリした
嫌な空気が…
処置は急いだ方がいいから、翔くんだって必死だし
智くんも恐いものは恐いし、後に引けなくなって
しまった感じ。
仕方ない、このままパパッと終わらせてしまうか…
それしか方法はないと思ったんだけど、翔くんの
考えは違ったみたい。
再び処置を始めようとした俺を見て「お願いします」
って頭を下げた後…
「頑張ろうね。ラクになるからね…」って、優しく
肩をさすって励まし始めた。
ガチガチに力が入っていた体から少しずつ力が抜けて
いくのが分かる。
目もギュッと閉じていたけど、微かに開けて翔くんの
ことを確認してる。
それに気が付いて頷いてあげる翔くん。
もう大丈夫だな。
「智くん？痛かったら教えてね」
智「…ん」
しっかりと声を出すことはまだ出来なかったけど
頷いてくれたのを確認できたから。
ドレーンを入れる部位を確認して処置を開始。
智「…ん、んん…」
「ちょっと気持ち悪い感じするよね、大丈夫？」
智「…ん」
多少痛みも伴うし、何より胸のところで何かを
されている…っていうのは恐怖心がね。
でも翔くんが「上手にできてるよ〜…」って。
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作者名：空
| 作成日時：2019年3月25日 20時
