3112.【2】 ページ12
［翔にぃside］
数日前に智にぃの体調が
悪そうだな…とは思っていたけれど、聴診してみて
驚いた。
まさか、ここまでとはね…
先「よくこんなになるまで我慢できたもんだな…」
「ほんとですよね…」
先輩も苦笑い。
ここまで苦しい状態で我慢できたんなら、脱気の
処置くらい頑張れるもんだと思うんだけど…
智「やだ…」
「いや、拒否権ないから」
智にぃはさっきから、処置の説明も入院も拒否。
「帰るんだ」ってきかない。
「…っちょっと！何してんの？」
智「んー…やだって言ってる」
「嫌でもなんでも必要なの。先輩のこと叩かないで」
智「…」
点滴しようとした先輩の手を叩いて払った。笑
先「嫌だったか…ごめんよ〜…笑」
「…すみません」
智にぃは俺が叱ったことでヘソを曲げてしまって
俺らから顔を背けてしまった。
頑固だからな〜…この人。
もう軌道修正は厳しいかもしれない。笑
でも、智にぃの症状からしてそんなに悠長な事は
言ってられない。
先「さぁ、早いとこ処置してラクにならないと」
「ですね」
智「…やだ」
先「準備しちゃうね。点滴は最後にしよう」
「お願いします。こっちも準備しちゃいます」
「やぁだ…」
ボソッと呟いた智にぃの言葉は無視ね。笑
［先輩side］
智くんが翔くんに叱られてるっていう、俺からしたら
珍しい光景。
息苦しさと、かなりの胸の痛みがあると思うんだけど
智くんは口をギュッとして顔を背けたまま。
確かに脱気の処置は、患者さんにとっては恐いし
多少の痛みもあるからね…
翔「上半身、服脱いじゃおうね。手伝うから」
智「んー…やめて、よ…」
翔「やめないよ、脱がなきゃ服切るよ？」
智「…ばか」
翔くんが叱りながらじゃないと進まない。笑
翔「ほら、腕上げて？」
智「んん…」
結局、翔くんが若干強引に上半身の服を脱がせた。
「処置したら、苦しいのすぐなくなるからね」
智「…」
翔「…すみません」
俺の言葉も無視する智くんを、翔くんがギロッと
睨む。
「ちょっと冷たいよ、ごめんねー…」
智「…っ」
ドレーンを入れる部位に消毒液で印を付けてから
滅菌された布を掛ける。
智くんは「いやだ、いやだ」って言いながらも
緊張はピークに達していると思う。
翔くんも「頑張っちゃおうね」って優しく声を掛けて
あげたんだけど…
智「…っ、やだよ、やりたく、ない…」
翔「…あ、ちょっと！」
処置されまいと、まさかの手が出てきた。
和くんより手強いかも…笑
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作者名：空
| 作成日時：2019年3月25日 20時
