2954.【4】 ページ4
［翔にぃside］
智にぃにバレて
アウトかと思ったけど、吸入薬で思いのほか
落ち着いてくれたから。
智にぃの言葉を無視して寝たフリ。
心配してくれてるのに、最低だよね。
そんな悪い行いは上手くいかないくて当然で…
「…っ、んっ、…っ…けほっ…」
寝転んでしばらくして出始めた咳が発作を誘発。
智「…っ、大丈夫？」
「…っ、…っ…んっ…けほっ…」
慌てて起き上がって、ペットボトルの水に手を
伸ばせば、すぐに智にぃが気が付いて蓋を開けて
渡してくれる。
こうやって傍で助けてくれようとしてたのに…
やっぱり最低だ、俺。
「…っけほ…けほっ…」
智「翔…」
「…ん、けほっ…けほっ…」
智にぃが一生懸命に背中をさすってくれる。
だけど咳は一向に止まる気配がない。
それどころか、どんどん酷くなって…呼吸すら
できなくなってくる。
「…っ、ん…けほっ…っ…」
苦しくて智にぃの手を掴んで縋る。
「病院いこうよ…」って心配してくれたこの手。
さっきは払ってしまったのにね…
和潤「ただいまー！！」
「ウォンッ！」
雅「予約してきたよ〜、家族風呂…って…」
さっきは絶好のタイミングで出ていった3人だった
のに…今度は最悪のタイミングで戻ってきちゃった。
和「どうしたのっ…」
潤「…翔にぃ…」
涙目になった双子が俺を見つめているのが分かる。
「大丈夫」だと声を掛けてやりたいのに、苦しい
呼吸がそれを許してはくれない…
［雅にぃside］
家族風呂を予約して、宿をちょこっと散策して
戻ってきたら大変なことになってるんだもん…
翔「…っ、…んっ…ん…」
智「喘息の発作が出ちゃってるみたい…」
「薬は？」
智「15分くらい前に一回吸ったけど…今は吸えて
ない…」
聴診器を当てなくても、はっきりと聴こえてくる
喘鳴。
和「…っ、んくっ…しょ、にぃ…」
潤「…んっ、んくっ…」
双子がポロポロ泣き出し取り乱し始める。
翔「…っ、んっ…んっ…ん…」
それに比例するみたいに、翔にぃの発作も酷くなり、
意識が混濁し始めた…
呼吸が出来なくなってきて、唇の色も悪くなって
きてる。
潤「…しょ、にぃ…っ、んくっ…」
和「…っ、しょ、にぃ、や…、いやだ、よ…」
双子が必死で呼び掛けるけど反応はほぼない。
「智にぃ乗ってあげてね。俺、双子連れてくから」
智「ありがと…安全運転ね」
「ん、りょーかい」
あらしをケージに入れてフロントに預け、智にぃは
救急車、俺と双子は車に乗り込んだ。
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作者名：空
| 作成日時：2018年9月6日 18時
