2793.【5】 ページ43
［智にぃside］
話をしている途中から
背中を震わせ始めた翔。
和の気持ち、翔の気持ち…全ては分からないかも
しれないけど、やっぱり少しは分かるよ、
伝わるよ。
だからその肩を抱き締めずにはいられない…
「…翔」
翔「…っ、ん…んっ…」
優しくさすりながら落ち着くのを待って、話の
続きをする。
まずはそれぞれが前を向くことが大切かなって…
夜には雅紀と潤も合わせて、4人で話をすることに。
翔が「長期の入院を強いられる患者はね？」って
話を切り出して…
翔「今の和みたいな心理状況になることも少なくは
ないんだ」
潤「…どうすれば、いいの…？」
潤の声が震える。
そうだよね、苦しいよね。
あんな和を見るのは、自分が辛いより苦しいと
思う。
そっと肩を抱いてから、翔に目で合図して先を促す。
翔「生きる意味…っていうか、生きたいって希望は
自分で見出してもらうしかない」
雅「和が生きたいって思う希望…どうやって…」
言葉を詰まらせた雅紀がポロポロと涙を零す。
潤「…っ、また、思ってくれるの、かな…、
あんなに、苦しくって、痛くって…辛いことばっかり
なのに…」
翔「ん、そうだな…辛いこと、苦しいことが
多すぎるもんな」
潤はしゃっくり上げて泣き出してしまって
つられて雅紀の泣き方も激しくなって…
俺や翔まで涙が零れそうだ。
でも、俺まで泣いている場合じゃない。
やるべきこと、きっとあるから…
「まずは俺らが、前を向かなくちゃいけないんだと
思う。どんな和でも、支えていかなくちゃいけないし
支えたい。和が生きたいって思う希望をもてるように
してやりたい」
翔「…ん、俺も同感。やっぱり、どんな人も1人きり
では頑張れない」
「そうだね…」
翔「長期入院の患者さんが精神的に辛い時、支えに
なるのは、その人にとって大切な人の存在だから。
俺、身近で色んなケース見てるけど、患者さんて
みんな強い。だから…和も…」
最後の方は翔も言葉に詰まり、涙を零した。
「…ん、そう信じたい。ここまで頑張ってきた
和だもん、きっと乗り越えられる。でもその為に、
俺ら4人の力が今まで以上に必要になってくるんじゃ
ないのかな？」
翔「…ん」
雅「…っ、ん」
潤「…ん、んくっ…ん…」
翔は涙を拭ってから、残りの2人は泣きながら…
だけどしっかり頷いてくれた。
和を頑張らせようとは思わない。
だってもう、十分に頑張っているんだから。
消えたいと思わないくらいに、愛してみせる…
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作者名：空
| 作成日時：2017年11月17日 22時
