5人で生きてゆく…part56 (ページ31)

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［雅にぃside］

警備会社の人かな、
とりあえず応答してくれて「救急車も手配して
おきますので、しばらくお待ちください」って。

エレベーターに閉じ込められても、こうして少し
でも冷静になれば、外部と繋がれるんだと
きちんと認識ができた。

和が発作を起こす前に「一人じゃないから平気
でしょ？」って声を掛けてくれたことも
思い出して…

「ありがと…かず。助けるからね…」

和「…っ、…ん…ん…」

今度は俺が…って気持ちになる。

そうは言っても、こんなエレベーターの中で
医者でもない俺が出来ることって何もない…

和は苦しくて堪らなくって、涙をポロポロ零し
ながら悶えてる。

「ごめん、ごめんね…かず」

和「…っ、…ん…」

床に寝かせておくのは可哀想で、後ろからそっと
抱き上げて声を掛けていたんだけど…

「もうすぐだからね…かず…」

和「…」

「…っ、かず？」

和「…」

「かず！」

だんだんと反応がなくなってきて、意識がスーッと
薄れていく…

体を揺すっても、声を掛けても反応しなくなって
そのうちに呼吸も止まりそうな弱々しいものに
なっていく。

「…っ、かず…かず…っ、んくっ…」

泣いてる場合じゃないのに、頭の中はもう…

どうしよう…ってパニック状態。

［翔にぃside］

ガレージに車を入れた直後に雅紀からの着信。

「なんか買っていくものあるー？」とかなんとか
平和なものだろうと疑わず「はいはーい？」と
応答したけれど…

雅「…っ、しょ、にぃ…和が、かずが…」

「ん？…どうした？」

状況は全然違っていた…

こっちもスピーカーに切り替えて、車内の潤にも
聞こえるようにして雅紀に指示を出す。

潤が「かず！」って呼び掛けてくれて、それも和に
少しでも届けばいいな…と願いつつ。

始めに確認した時は「かなり微かにだけど、自分で
呼吸してるよ」って。

それが「駄目だ…心停止」って言葉に変わり。

「心臓マッサージ続けて？今、潤の携帯で警備会社
に連絡とってるから」

雅「…っ、ん、…ん、どう、しよ…かず、が…」

「まさ？大丈夫。雅紀なら和のこと助けられるよ。
な？信じて…」

雅「…っ、ん…、…んくっ…」

エレベーターからの救出に時間がかかるなら、俺も
ショッピングセンターに向かって、そこで合流した
方がいい。

もう救出してもらえるなら、病院で合流だな…

潤「翔にぃ？あと5分くらいだって」

「ん、了解。じゃあ、病院に行こう」

雅紀にそれを伝えて、俺は再び車を走らせた。