2658.【3】 ページ8
［智にぃside］
俺のせいで
雅紀が車に跳ねられた…
雅紀に腕を引かれた感覚。
ドスッ…と音を立てて、雅紀が倒れた瞬間。
頭に焼き付いてるんだ。
「…っ、まさ、き…」
ICUの雅紀は翌日も意識を取り戻すことなく。
こんな状態の雅紀を置いて家に帰るのは
どうしても嫌で…
「帰らない」って我儘を言って、翔と先生を
困らせた。
患者の家族用の仮眠室できちんと休むことを条件に
翔が双子を連れて家に帰ってくれて。
俺は仮眠を取りながら、雅紀の傍にいることが
できた。
事故から2日目の早朝…
何となく雅紀に呼ばれてる気がして、ICUへと
向かう。
「…どうした？苦しい…？」
昨日と変わらずベッドで目を閉じている雅紀
だけど、目尻から涙が零れてる…
近くにいた医師が診察してくれたけど「生理的に
流れてるだけだね」って。
でも、そんなことないと俺は思っていて…
「…俺のこと、心配してんの？」
「雅紀のお陰で、怪我一つしてない、よ…」
手を握って沢山、話し掛けた。
「お礼言いたいから戻ってきて」って。
気が付いたら泣いていて、先生がきてくれて
優しく背中を撫でてくれる。
「まさ、き…」
先「雅紀くん？みんな待ってるからね…」
強く握った手がピクッと…動いた気がした。
先生に伝えたら「呼びかけてみて」って。
何度も何度も「まさき」って呼んでみる。
「…あ、動いた…かも…」
先「雅紀くん？…分かる？」
立て続けにピクピクッと手が動いて、目を薄っすら
開けた。
「…っ、…さき、ごめ、ん…」
先「雅紀くん？分かる？」
雅「…ん」
先「ん、分かるね」
ゆっくり小さく動いた口。
「…まさき、ありがとう」
先「軽く診察させてね」
手を握って何度も「ありがとう」って
伝えたら、少しだけ口を動かして「…よかった」
って。
診察されながら再び眠りに落ちた…
挿管していない分、回復は早いらしいけど
頭を怪我したから、しばらはベッドの上で
安静に過ごさないといけないらしい。
翔達が来る時間になって再び目を覚ました雅紀は
「智にぃの声が聞こえたよ」って笑ってくれて。
翔「付きっきりだったもんね」
「…ん、俺のせいだから…」
自己嫌悪に陥った俺に「そんなことないよ。
俺が勝手にやっただけだから」って。
和潤「よかった、また笑ってくれて」
雅「…りがと…」
喜んで擦り寄っていく双子に笑顔を向ける余裕も
出来たみたいで、ホッとする。
と、同時に…
回復するまで、傍にいようって決めた。
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
