2689.【2】 ページ39
［先輩side］
症状が悪化して、
万が一、吐血でもしたら…
また兄弟たちがビックリして、可哀想だと
思ったから。
何より、翔くんの体が心配だし。
強制的に胃カメラの予約を取らせたんだけど
ちゃんと受けてくれるかどうか…笑
心配しながら出勤したら、案の定…
『キャンセルされました。あとは頼みます』って
メールが届いていた。
和くんの好きな『たいちゃん』に頼んだけど
検査日当日の今朝になってキャンセルしたらしい。
出勤してきた翔くんを捕まえて問い詰めれば
「痛まなくなったんで、もう大丈夫です」の
一点張りで。
「昨日も痛そうにしてただろ？」
翔「今朝、治ったんです…」
「そんなことあるか、バカ！笑」
頭いいくせに、変な言い訳しやがって。
「経口が嫌なら、他の病院で受けてくれば
いいだろ？」
翔「いや…そういう訳じゃなくて…」
少し話してみたけれど、拒否の姿勢は変わらず。
無理矢理に予約を取らせても、今回みたいに
キャンセルされてしまっては意味がない。
引きずって連れていくわけにもいかないし…
だけどこのまま放って置くこともできず…
俺は昼休み中に智くんに電話をした。
智くんの前では痛がる素振りは一切見せて
いなかったらしくて驚いていたけれど…
事の経緯を話したら「帰ってきたら説得して
みます」って言ってくれて一安心。
［智にぃside］
みんなが自室にいってから、リビングで翔を
呼び止めた。
話を切り出した途端に、ソファーで膝を抱えて
座ってしまって「もう…なんで知ってるの」って
いじけ始めて。
「心配してたよ？」
翔「…治ったって言ったのに」
「嘘つかれてもねぇ…笑」
顔を覗き込めば、慌てて逸らして「いいの」
「やらないの」って。
病院でも家でも説得されていては、確かに良い気は
しないだろうけども。
先生の言う通り、放っておくことはできないから…
「思い当たるストレスとかないんでしょ？」
翔「…ん」
「だったら心配じゃん」
翔「…」
困った時は黙り作戦。
誰かさんと一緒だ。
「何が嫌なの？検査苦しいから？」
翔「…なんにも嫌じゃない。治ったからだもん…」
「うそつけ。笑」
翔「ん〜…」
脇腹をツンツンしながら「何が嫌なの〜？」って
からかってやる。
くすぐったがってクネクネしながら「やめて〜」
って。
「降参？ちゃんと話すならやめてあげるよ？」
翔「ん〜…」
「ん？どうする？降参？笑」
翔「ん〜…話すから…」
やった！
俺の勝ち〜！！笑
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
