2686.【4】 ページ36
［翔にぃside］
和「んん…」
「すぐ終わるから大丈夫…」
ベッドに寝かせようとしても、しがみ付いて
離れないから。
「俺が一緒に寝転ぶ。智にぃさ、腕固定するの
サポートしてもらっていい？」
智「りょうかい」
和をくっ付けたままベッドに寝転ぶ。
必然的に覆い被さる感じになってるけど。笑
看護師から話を聞いて、智にぃがサポートに
入ってくれる。
和「ん、んん…んっ！！」
「…っ、危なっ！」
振り回された手を避けようとして、俺が顔を上げて
しまったのがマズかった。
和「…っ、ん、や…」
「…っごめん！！」
和の視界に透析用の注射針が…
和「…っ、や…」
「ごめん…」
和「や…、んくっ…や…」
さっきまでとは比べ物にならないくらい
興奮してしまった和が手をバタバタと振り回す。
看「少し待ちましょうか」
「いい？…そうしてもらえると、助かる」
看護師が気を利かせてくれて、また4人だけの
空間になったけど…
和「…っ、んくっ…こわ、い…」
「ん、ごめん。恐いよな…」
和は震えて「こわい」「帰る」って繰り返して
泣くばかりで。
もちろん、注射することは伝えてあったけど
透析用の注射針は長くて太いから。
見せないように注意しなきゃって思ってたのに…
縋ってくる体をしっかり抱き締めて、落ち着くまで
背中をさする。
和「…っ、も…や…、かえ、る…」
「んーん。帰るのは透析が終わってから」
和「…っ、んくっ、こわ、い…」
落ち着いてきたかな〜…と思っても、ベッドに
戻そうとするとパニック気味になって。
何度目かで、さっきみたいに覆い被さる感じで
寝転ばせることが出来たから、このまま進めて
しまうことにした。
和「…っ、んっ、んくっ…や…」
「大丈夫。すぐ終わるよ」
智「和〜、右手もらうよ〜？」
俺の背中に、しがみ付くように回されていた和の
右手。
智にぃがそっと包んでくれているのが分かる。
和「…っ、ん…、…わ、い…」
雅「みんないるからね」
雅紀も和の気持ちを尊重しながら、上手く動きを
抑制してくれる。
和「…っ、んっ、ん…」
耳元で声を掛け続けていたら、少しずつ
落ち着いてきて「しょ、にぃ…いて？」って。
「ん、いるよ。ちょっとだけ頑張れる？」
和「…ん」
少しだけ落ち着いた状態で、注射をすることが
出来た。
麻酔のシールを貼ってあるけど、痛みを完全には
防げないから「んっ…」って顔を歪めていた
けれど…
「よしよし…えらいな」
頑張ってくれた。
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
