2687.【5】 ページ37
［潤side］
和は週に3日〜4日、
人工透析を受けてる。
始めは恐がったり、嫌がったりしていたけれど
今は落ち着いてきたって翔にぃから聞いた。
和「今日は一緒？」
「ん、智にぃ仕事だから、俺が付き添い。
一緒にDVD観よう。な？」
和「ん ♪」
今日は初めて俺が付き添い。
人工透析は5時間くらいかかるから、智にぃが
病院まで送ってくれた。
終わったら、仕事を終えた翔にぃと帰ることに
なってる。
翔「よしよし、いらっしゃい。笑」
和「んふふ…」
「くはっ！」
軽く仕切られたベッドがあるところに通されて
和は「やだな…」って呟きながら座った。
麻酔のテープは、学校から帰った時に智にぃが
貼ってあげてる。
翔「寝転べる？」
和「んーん…」
何度か受けていると言っても、やっぱり恐さと
不安はゼロではないから…
和は目を潤ませて「しょ、にぃ…」って呟き
ながら抱き付いていく。
翔「大丈夫だよ。潤もいてくれるんだから」
和「…ん」
翔「…やってもらうよ？」
和「…ん」
ちょっと震えながらも、注射針が刺さっても
落ち着いていられて、和の頑張りはすごいなって
改めて感じる。
和「くふふ…面白いね」
「ね。面白いね」
30分くらいは楽しそうにDVDを観ていたんだけど…
和「…ゅん、気持ち、悪い…」
「吐く？」
和「…ん、出ちゃう…、んっ、おぇっ…」
容器を渡してあげた途端に嘔吐を始めて。
慌てて翔にぃを呼ぶ。
翔「気持ち悪いだけ？頭は？」
和「…ん、いた、い…」
どうやら副作用らしい。
和の場合は、毎回なるわけじゃないけど
2回に1回くらいのペースで起きてしまっている
みたい。
和「…っ、んっ、おぇっ…」
翔「辛いな…ちょっと冷やそうか…」
和「…っ、おぇっ…」
和は苦しそうに嘔吐しながらも「何もいらないから
翔にぃここにいて」って。
翔「ん、分かった。傍にいるから」
和「…っ、おぇっ…」
涙をポロポロ零しながらも「潤も…」って。
「ん、俺もいるよ。頑張れ…」
背中をさすってやることくらいしか出来ない。
看護師さんが冷たいタオルを持ってきてくれて、
それを翔にぃが額にのせたら、少しだけ表情が
柔らかくなったけど…
和「…っ、おぇっ…」
翔「辛いな…よしよし…」
気持ち悪さはなかなか抜けなくて、それから
1時間くらいは辛さで泣いていた和。
それでも透析が終われば「ありがと」「帰ろ」
って笑顔を見せてくれて。
ほんとに強い奴。
頑張って透析続けて、元気になろうな？
END
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
