2683.【人工透析】 ページ33
［翔にぃside］
和はここ1ヶ月くらい
体調が良かった。
体調チェックの時以外は、病気だってことを
忘れちゃうくらい元気にしてた。
学校も休まず通えていたし、フットサルにも
参加して元気に走り回り。
「先輩も来てくれるから、お礼言えよ？」
和「はぁ〜い！」
だけど数日前、ちょっと気になることがあって…
検査を受けさせることにした。
和に話したら、和も気が付いてて「言わなくて
ごめんなさい」って謝ってきたから、
ただ黙って抱き締めた。
楽しい時は、不安なこととか心配なことを
『気のせいだ』って片付けてしまいたくなる
気持ち分かるから…
だけど元気だった分、しっかりとストレス発散して
好きなことを楽しめていたからか機嫌がいい。
和「ねぇねぇ、痛いことする〜？」
雅「ん〜…どうだろうねぇ。笑」
だから心に余裕もあって、病院に行くのに
この余裕っぷり。
カウンセリングにも通えていたし、やっぱり何より
制限が少なく済んでいたのが良かったのかも。
エネルギーチャージできたっていうかね。笑
先輩にも元気に挨拶して談話もしてた。
尿検査をして、血液検査をして。
やっぱり腎臓の機能低下で間違いなさそう。
和「もう…終わりが、いい…」
「説明するから。談話室で待ってて？」
和「…帰りた、い」
さすがに余裕がなくなってきたのか、さっきから
智にぃと雅紀の腕に絡みつくように掴まってる。
智「屋上でもいい？」
「そうだね…屋上にしよっか」
智にぃが気遣ってくれて屋上に連れて行って
くれて。
俺はいくつかの検査データと資料と、これからの
検査の内容が分かる資料を持って、少し遅れて
屋上へ。
数日入院して、腎臓の組織を採って検査する
『腎生検』をすること。
その結果次第では『人工透析』が必要になること。
黙って聞きながら資料なんかを一生懸命に
目で追っていた和だけど…
和「…っ、んくっ…、こわい…」
智「ん、恐くなっちゃうね」
智にぃに縋ってポロポロと泣き出してからは
止まらなくなってしまって…
智「でもね、治るんだって。翔先生が一緒に
いてくれるって。心強いね…」
和「…ん」
智にぃの言葉は俺にとっても心強い。
和は思いっきり泣いた後「いっぱい好きなこと
した分、頑張る」って頼もしい言葉をくれて。
そのまま入院することを受け入れてくれた。
泌尿器科の先生が挨拶に来てくれたときも
ペコッと頭を下げて、少しだけど笑顔も
見せてくれて。
ホッとした…
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
