2674.【4】 ページ24
［雅にぃside］
先生の「すぐに
終わっちゃうからね」って言葉を合図に治療開始。
体を震わせて恐がる潤は可哀想だけど、
我慢出来ない程の痛みではないと聞いている。
潤「…っ、んくっ…、や…、こわ、い…」
翔「大丈夫…」
危険もあるから、翔にぃはガッチリと頭を固定
しているけど、智にぃは手を握ってあげる
程度だし、俺も肩の辺りをさするだけ。
幼い頃みたいに身動き出来ないほどに固定
しなくても危険はないしね。
先「ちょっとだけ頑張るよ〜？」
潤「…ん、んん…や…」
器具が入れられたら目をギュッと閉じて
緊張で体を硬くして…
さすっている肩が小刻みに震え出す。
「大丈夫…恐くないよ…」
ここだけ乗り越えてくれれば…と思うのに
何だか分からないけど俺まで泣きそうになる。
先「ちょっと痛いからね」
潤「…っ、ん…」
先生は一言ずつ声を掛けて、ワケも分からずに
治療をされた記憶を塗り替えてくれる。
切開された瞬間「んっ！！」って声を漏らして
ビクッと体を動かした潤だけど、その後の先生の
「一番痛いとこ、もう終わってるよ〜」って
言葉で、少しだけ落ち着いてくれた。
潤「…っ、んっ…ん…んくっ…」
翔「痛いな…でも恐くないだろ？」
潤「…っ、ん、んっ…」
痛みと、少し残る恐怖心と、安心感と…
色んな感情が混じって治療後も泣いている潤。
先生に「化膿止めの注射だけして帰ろう」って
言われたけど「今日はもう帰る」って。笑
翔「それは先生が決めることなの。笑」
少しだけ空気の軽くなった診察室。
翔にぃが涙を拭いてあげるけど、また溢れてくる…
翔「これだけ頑張ったら帰ろう。な？」
潤「…っ、んっ、…こわか、った…」
翔「もう終わったよ。頑張れただろ？」
まだ実感ないのかな。笑
家に帰って思いっきり甘えるためにも、注射だけ
頑張らないとね。
翔「ほら、すぐ終わるから…」
潤「…っ、んっ…」
翔にぃが肩を露出させてギュッと抱きしめて
あげて。
先生は「ちょっと痛いからね〜」って言いながら
針を刺した。
「…痛い」って涙ポロポロ。
注射くらいでは普段は泣かないから、甘えたい
気持ちが強いんだろうと…
その気持ちを汲み取って「もう終わるよ」
「大丈夫だよ」「えらいね」って、俺らはいっぱい
励ました。
潤「…っ…痛かっ、た」
「えらかったね」
みんなで褒めて、先生にも褒めてもらったら
笑顔を見せてくれた。
乗り越えたね…
完治まで無事に耳鼻科に通えそうで一安心。
END
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
