2635.【2】 ページ35
［潤side］
その日俺は『学校』を
理由に和から逃げた。
和が高熱だって分かってたら、いつもなら
真っ先に家に帰るけど…
「俺もフットサルやってくわ…」
友達に「珍しいな」なんて言われながらも
日が暮れるまで遊んで過ごした。
記憶が蘇ってくるのが恐い。
泣き声を聴くのが恐い。
「ただいま」
智「おかえり〜。シャワーしてくる？」
「ん、そうする」
真っ先にシャワーを浴びて、その後も部屋で
勉強を…
部屋に訪ねてきた翔にぃに「熱が高くて辛そう
だから、時間空いたら顔出してやって？」って
言われたけど「…ん」って返事で誤魔化した。
「かず、おやすみ」
和「…じゅ、ん…」
寝る前にそっと部屋を覗いて体に軽く触れたら
もの凄く熱くって…
目を開けているのも辛そうなのに「学校のこと
話して？」って。
話してやりたい。
学校に行くのを楽しみにしている和が、こうして
休まないといけない時、いつも聞きたがる。
俺はベッドサイドに座って、そんな和に話を
するのが好きだ。
どんなに辛そうにしてても話を聞いている時の
顔は穏やかだから…
でも、今はしてやれない。
また今朝みたいな状況になったら、俺は平常心を
保つ自信がないから。
それに恐さもあって…
「…もう少し熱が下がったらしてやるから」
和「…」
一瞬『どうして？』って表情を見せた和。
だけどすぐに口角を少しだけ上げて…
和「…ん、おやすみ…」
弱った和にまで気を遣わせるなんて最低だ。
そう思うけど、やっぱり恐怖心には勝てなくて
和を避けてしまう。
［智にぃside］
和の高熱はもう3日も続いてる。
心も不安定でパニックを起こし掛けることも
度々あって。
和「…ゅん…」
「ん、今呼んでるからね。待ってね」
こんな時、和の傍にはいつも潤がいてくれて
「学校休みたい」って言う程だったのに…
翔「あいつ、なんでこねーの？」
雅「なんかね…明日テストなんだって」
翔「顔くらい見せてやれんだろ…」
潤はなかなか和の傍にいてくれなかった。
「明日テストなんだって？」
潤「ん、苦手な科目だから…」
夕食時、潤と2人きりだったから少しだけ話を
聞いてみた。
そしたら、何も言っていないのに「和の傍に
いられる時間、短かくてごめん」って
謝ってきたから…
「ん、大丈夫。時間ある時、覗いてやって？」
潤「…ん」
それ以上、要求することなんて出来なかった。
自分の時間だって必要だろうし、潤なりに
考えての行動なんだと思ったから…
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作者名：空
| 作成日時：2017年7月13日 21時
