2618.【3】 ページ18
［翔にぃside］
熱が高くて
心配だったから、和室で一緒に眠ったんだけど…
智「…ん、んん〜…」
「辛いね…」
ゆっくり眠れるはずもなく何度も魘されて
起きてしまって可哀想で。
冷えピタを替えたりしてみるけど、気休めにしか
ならないよね。
智「ん、ん…」
「ちょっと待ってね」
冷たいタオルで体を拭いてあげてから、頭を少し
上げて飲み物を飲ませる。
昼間は機嫌が悪かったって雅紀から聞いてる。
俺が帰宅してからもグダグダだったもんな。笑
智「んん…やぁだ…」
「えっ…なんでよ。笑」
脇に体温計挟もうとしたら拒否られた。
こんな夜中に不機嫌になられても…
俺しかいないのに。
「熱だけ計っておこうよ？」
智「ん、ん…」
ペシペシッと体温計を払ってご立腹。
「もう…熱計りたくないの？」
智「んぅ…」
トロンとした目で見つめてきたから
目を合わせたら、逸らされた。
唇を微かに尖らせて…やっぱり不機嫌だね。
「分かった、計るのやめようね…」
智「…ん」
何かとグダグダしたいだけなんだろうから
無理やり計るのはやめて。
隣に寝転んで、胸に手を当てたら穏やかな顔付きに
なった。
智「ん〜…」
「どこが一番辛い？」
胸元をトントン叩きながら聞いてみる…
やっぱり熱が辛いかな〜…と思うけど。
智「…頭が、おもい…」
「そっか、そっか。熱高いもんね…」
智「…ん」
熱のせいで少し赤みを帯びた頬っぺたと、
潤んだ目が、実年齢より幼く見せる。
智「…した、休み？」
「…ん？俺？」
智「…ん」
予想していなかった質問に上手く答えられず…
そしたら智にぃは不安そうに潤んだ瞳を揺らして
「また行っちゃうの…？」って。
「いや、行かないよ。明日は行かない」
智「…ん」
今日は、呼び出しがあって仕事に行ったから
少なからず不安もあったんだろうと。
智「…ょういん、いかない、から…」
「ん、分かったよ。笑」
『自分も病院は行かない』って伝えてくるあたり、思考回路はしっかりしているんだなと。笑
「眠くなったら寝ちゃいなね…」
智「…ん」
「ん、握ってようね…」
伸ばしてきた手を握ってあげたら目を閉じて
くれた。
これで少しは休めたらいいけど。
しばらくして聴こえてきた寝息はスースーと
穏やかで。
「ゆっくり休んでね…」
少しでも長く、ゆっくり眠って欲しいと願う。
大人になってからの高熱は辛いからね…
ピピッ…
そっと耳に差し込んだ体温計は39℃後半を
表示している。
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作者名：空
| 作成日時：2017年7月13日 21時
