2585.【2】 ページ35
［智にぃside］
職場を早退してきた
雅紀も合流して、病室に5人揃った。
翔「名前は？」
和「…」
翔「じゃあ、これは誰？」
和「…」
目覚めた和は記憶を失ってしまっている。
潤「…っ、んっ、んくっ…、和、ごめ、ん…」
和「…？」
潤が泣きながら謝るけど、和の頭には？が
浮かんでいて分かっていない。
翔「潤のことを助けようとして、代わりに和が
階段から落ちちゃったんだよ？」
和「…」
そんな和を見て、翔がゆっくりと説明する。
誰が潤で、誰が和なのかを示しながら。
分かったか、分かっていないのか…和は無言の
まま翔を見つめてる。
潤「…っ、んくっ…、…れの、俺の、せい、だ…」
「泣かなくて大丈夫。和もビックリしちゃうよ」
潤「…っ、んっ、…も、俺が、無茶したから…」
「後悔したってしょうがないよ。ね？」
自分を責めて泣く潤に、いったい何をして
あげられるんだろう。
状況がまったく分からずに、キョトン…と
している和に、何をしてあげられるんだろう。
翔としばらく顔を見合わせる。
潤「…っ、んくっ、…ず、かず、ごめ、ん…」
和「…」
反応がない和を前にして、堪らなくなって
しまったんだろう…
翔「…っ、潤！！」
潤は病室を飛び出していってしまった…
［翔にぃside］
「潤！待てって…」
潤「…っ、んっ…離し、て…」
「駄目」
病室を出て少しのところで、腕を掴んだ。
どこにいこうとしているのか知らないけど
「離して」って怒って泣きながら腕を振って
離させようとしてくる。
「こっちおいで、ちょっと話そう」
潤「…っ、んっ…、んくっ…俺が、悪い…」
「それも含めて聞いてやるから。な？おいで」
手を引いて中庭のベンチに座らせる。
潤「…っ、んくっ、ん…」
「ん、とりあえず泣きたいだけ泣け」
潤が自分を責めてしまうのは仕方ない。
きっと俺だって、潤の立場だったら同じだ。
そう思うから、気が済むまで泣かせてやろうと
思って。
抱き寄せて背中をさすって…
何も声を掛けずに、ただ待った。
潤「…っ、…ん、…めんな、さ…」
「…落ち着いた？」
潤「…ん、…っ…」
しばらくしたら少し落ち着いて、俯いたままだけど
嗚咽は止まったみたいだ。
ポツリ、ポツリ…と話をしてくれた。
「和はお前のこと守りたくてやったんだから…。
な？今は覚えていないけど、守れてよかったって
思ってると思うけどな」
潤「…ん」
頷きながら小さく声を漏らした潤。
そっと抱き締める…
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作者名：空
| 作成日時：2017年6月14日 18時
