2551.【兄とすれ違う気持ち】 ページ1
［和side］
にぃ達の為に
ちょっとだけ無理をした。
だって迷惑を掛けたくなかったから。
俺の体は俺のもの。
だから「少しだけ我慢してね」って言い聞かせて。
せっかく上手く誤魔化せて…
上手く無理できて…
心の中でガッツポーズしていたのに…
翔「高いね…38℃超えちゃってる」
「ん、ん…大丈夫…」
夜になって熱が出てしまった。
翔「急にじゃないよな？」
「…」
翔「いつから具合悪かったの？」
「さっき、だもん…」
正直に「にぃ達の為にと思った」って話したら
きっと自分達のこと責めちゃうよね。
そう思うから…
「ほんとに、急に、だもん…」
何度疑われても嘘を付く。
もちろんみんな、俺が嘘を付いたって知ってる。
でも嘘をつき通すって決めたから。
智「なんでそんなに頑固なの？」
翔「体のことに関しては嘘つくなっていつも
言ってるよな…？」
「…」
翔「黙りは卑怯だから駄目。何とか言いなさい」
「…」
翔「もういいよ、知らねーからな」
「…っ、…んっ…」
我慢してた涙が零れてきちゃった…
知らないと言いつつも、本当に放っておくことが
出来ないから、厄介だよね。
翔「これ飲んで寝てろ。潤のこと呼んでくるから」
「…」
薬を飲まされ、体を冷やされて。
看病は潤とバトンタッチ。
潤には目が覚める度に「理由あるんだろ？」って
聞かれたけど、首を振って返答した。
夜中はにぃ達の気配を感じたけど、寝たふりを
して逃げた。
看病してくれているのが分かったけどね…
翌朝も診察される気配で目覚めたけど
目を閉じたままやり過ごす。
翔にぃの「もう下がってるから大丈夫」って
声が聞こえて、みんなが口々に「よかった」って
安心する声が聞こえた。
心の中で「ごめんなさい」って謝っておく。
だけど「そろそろ素直になれ」って言われると
言い出せない。
雅「和さぁ、いい加減ちゃんと謝りなよ？」
智「体調のこと隠すのはいけないことって
分かってるよね？」
翔「分かってて嘘付いたんだろ？」
「…」
翔「何とか言えって言ってんの！黙りで解決
すると思うな！」
「…」
智「悪いと思ってないから謝らないの？
それとも、何か理由がある…？」
みんながヒートアップしてきたから、智にぃが
俺のことを気にして優しく声を掛けてくれる。
それでも言い出せない。
だって、にぃ達は自分を責めるでしょ…？
「…ほんと、に、朝から、だもん…」
翔「あー、もう！イライラすんな！」
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作者名：空
| 作成日時：2017年6月14日 18時
